Kroiが体現する新世代の“ブラックネス” 目を離せないライブ感生まれた『CIRCLE』レポ
また、Kroiは先述のとおり、昨年2度のワンマン配信ライブを行なっている。その1回目、バンドメンバーの中心に箱が置かれた『BOX』では、魚眼レンズから覗いたような映像が取り入れていた。一方、2回目『VOMIT』では、廃墟を思わせる無機質な空間にタイトルに絡めた吐瀉物を思わせるカラフルなテープなどが散りばめられたステージが印象的だった。これら2つの配信ライブでは、リアルライブでは見ることのできない、メンバー一人ひとりに寄った映像や後ろ姿など、多角的なアングルで撮影された映像を楽しむことができた。
このように過去2回ともタイトルに合わせた舞台演出が行われてきたKroiのワンマン配信ライブだが、今回は『CIRCLE』というタイトルどおり、メンバーが中心に据えられた蛍光灯を囲むように円く輪を組み演奏する形式が取られていた。その姿はバンドの“核”を表現しているように見える一方で、円にあわせて、カメラのアングル自体もルーレットのように回るという演出が採られた。その視点が回転するかのような効果を感じさせた映像は、披露される曲のグルーヴとも連動することで、よりトリッピーな視覚効果を発揮。視聴者は、そこにリアルライブとはまた違った“目を離せないライブ感”を感じたことだろう。そして、それが今回の配信ライブに対する没入感を生み出していたはずだ。
Kroiは、2月7日より、東京、大阪、名古屋の3都市を周るライブツアー『DUEL』を開催することがすでに発表されている。渋谷WWWで行われるツアー初日はすでにソールドアウトしているが、このほど、3月27日に渋谷WWW Xにて追加公演の開催が決定したばかりだ。今回のワンマン配信ライブを見て、Kroiのライブに魅せられた人は、次は是非、リアルライブでフィジカルに彼らが奏でるあらゆるブラックネスを飲み込み、生み出される“新世代のブラックミュージック”を体感してみてはいかだろうか。
■Jun Fukunaga
音楽、映画を中心にフードや生活雑貨まで幅広く執筆する雑食性フリーランスライター。DJと音楽制作も少々。
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