宮下遊、アルバム『錆付くまで』で切り拓いたサウンドメイクにおける新境地 心地よい立体音像を再現した収録曲をレビュー

 2020年4月、動画共有サイトにて公開した「リエリカ」より、これまでに3曲自身作詞作曲のオリジナル曲を生み出してきた。とりわけ、2019年9月6日にYouTubeにて公開し、オリジナル曲としては唯一サブスクリプション配信もしている「Ithna」は、歌/ソングライティング/編曲/イラスト/動画/マスタリング/ミックスのすべてを自身で手がけた秀抜な代表曲。随所に散らばるギターサウンドと取り取りな歌声の表情が速急に駆けていく同曲は、サビ頭がメロディよりも先行していることから、サビからは特に引っ張られるようなドラマティックな展開に。独特な音像が広がるオリジナル曲のミュージックビデオのすべてが、無彩色でダークな雰囲気を醸し出すところは今作のタイトルにも通じる。くぐもったボーカルから始まり、頭の周りを動くようなどこか不気味な印象もあるシンセサウンドが流れるサディスティックな「es」、断片的な声が続く「Tisa」。『錆付くまで』収録の自身作詞作曲のサウンド/歌声に関しても立体音響は点在している。

宮下遊 - Ithna【Music Video】/ Yuu Miyashita - Ithna

 歌うことから派生してミックス技術も巧みに操り、どこにもない心地よい立体音像を再現する宮下遊。『錆付くまで』では、立体的なサウンドへのアプローチをもって、クリエイティブな世界観を構築した。常に最先端を行く孤高な宮下遊が広げる感覚世界は、とどまるところを知らない。

■小町 碧音
1991年生まれ。歌い手、邦楽ロックを得意とする音楽メインのフリーライター。高校生の頃から気になったアーティストのライブにはよく足を運んでます。『Real Sound』『BASS ON TOP』『UtaTen』などに寄稿。
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『錆付くまで』初回限定盤

■リリース情報
3rd ALBUM『錆付くまで』
2021年1月20日(水)発売
収録曲:12曲
Illustration:宮下遊
Title logo design:大橋 忍
<収録曲>
01. エンドゲエム(作詞・作曲:かいりきベア)
02. 悪夢のララバイ(作詞・作曲:syudou)
03. es(作詞・作曲・編曲:宮下遊)
04. アノニマス・エゴイズム
(作詞:hotaru 作曲:Tom-H@ck,KanadeYUK, 編曲:KanadeYUK)
05. 君を論じたい(作詞・作曲:てにをは)
06. アート(作詞・作曲:カフ@)
07. Tisa(作詞・作曲:宮下遊)
08. カトリーナ(作詞・作曲:楽園市街)
09. ダリア(作詞・作曲:蜂屋ななし)
10. Coquetterie dancer(作詞・作曲:煮ル果実)
11. ハチェット(作詞・作曲:Mah)
12. 輪廻転生(作詞・作曲:シャノン)
※順不同・収録曲、内容は変更になる場合がございます。

初回限定盤
(CD+コンセプトブック(24P) / 三方背ケース仕様)
PCCA.04986 / ¥3,200(本体)+税
[コンセプトブック(24P)内容]
ライナーノーツ、MV設定資料、クリエーター・作家様コメント等

通常盤(CD ONLY)
PCCA.04987 / ¥2,500(本体)+税

宮下遊公式サイト

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