広瀬香美、カバー・コラボ・新曲で彩る『歌ってみた 歌われてみた』 ベテランらしい技量から遊び心まで満載な1枚に

 11曲目からの第三部では、7曲の新曲をたっぷりと聴くことができる。これが実にパーソナルな親近感溢れる曲ばかりで、〈歌い続けて30年〉〈老舗の味どすえ〉と明るく朗らかに歌う「30年」や、新しいピアノを手に入れた喜びをそのまま綴った「新しいピアノきた」など、子供のように「目の前にあるもの何でも歌にしちゃいました」的な素直さが光るもの。さらに〈過去何度も 一般的を 目指した/結局は 一般的から 弾き飛ばされた〉と歌う「HENTAI」や、「歌ってみた」シリーズをやることで自分の中のパフォーマー性に目覚め、〈エンターテナーを/目指して 目指してみようかな〉〈応援してくれるかな?〉とファンに語り掛ける「エンターテナーになりたい」など、心の奥にしまった本音をピアノに乗せてこっそり聴かせてくれるのも、ファンにとってはとても嬉しい。

 アルバムのラストを締めくくるのは、お笑いコンビ・EXITの兼近大樹がタイトル案を出した「キススイカカレ」と、かまいたちの山内健司が学生時代に書いた歌詞に広瀬香美がメロディを付け、テレビ番組の企画から生まれた楽曲「Lonely Boy ~遠い記憶の中で~(スーパースタッカートVer.)」の2曲だ。まるで「みんなのうた」で流れそうな、愛らしいメロディと語呂遊びが楽しい前者も、壮大でドラマチックなラブソングの後者も、どちらも作曲家としての広瀬香美の尽きない才能を示すもので、女王健在を強くアピールする。全17曲というボリューミーなアルバムだが、確かな満腹感とは裏腹に聴き終えた後味はすっきりと爽やかだ。

【作詞 かまいたち山内 ×作曲 広瀬香美 】ロンリーボーイ2番を”スーパースタッカート“で作曲してみた♪#3

 「歌ってみた」「歌われてみた」「新曲」の三部構成で、音楽家・広瀬香美が聴かせたかったもの。それは言葉を綴ってメロディを紡ぐこと、歌って演奏すること、それを気の合う仲間と分かち合うこと、というとてもシンプルで最高な幸せの表現だ。デビュー30年目にして驚くべき瑞々しさを保ちながら、広瀬香美はこれからも音楽の喜びを伝え続ける伝道師でいてくれるだろう。『歌ってみた 歌われてみた』は、その新たな福音書となる1枚だ。

広瀬香美『歌ってみた 歌われてみた』

■作品概要
広瀬香美『歌ってみた 歌われてみた』
2021年1月27日(水)リリース
通常盤(CD)¥3,500(税抜)

<収録曲>
01.WOW WAR TONIGHT ~時には起こせよムーヴメント~
02.白日
03.もしかしてだけど
04.奏 (かなで)
05.Pretender
06.愛があれば大丈夫 (with 眉村ちあき)
07.ゲレンデがとけるほど恋したい (with 鬼龍院翔<ゴールデンボンバー>)
08.ロマンスの神様 (with 百田夏菜子)
09.DEAR… again(with chay)
10.promise(with HAN- KUN)
11.30年
12.HENTAI
13.新しいピアノきた
14.エンターテナーになりたい
15.心の音
16.Lonely Boy ~遠い記憶の中で~(スーパースタッカート Ver.)

<アルバム先着予約・購入特典>
下記対象店にてアルバム『歌ってみた 歌われてみた』を予約・購入すると、先着で特典をプレゼント。
・Amazon.co.jp:メガジャケ
・ビクターオンラインストア:オリジナルポストカード

■関連リンク
広瀬香美オフィシャルサイト
広瀬香美レーベルサイト

関連記事