平手友梨奈、ソロ曲「ダンスの理由」の衝撃 『FNS歌謡祭』で見せた飽くなき姿勢と意思表明

 歌詞には、彼女がなぜ踊り続けた/続けるのかを独白していくようなフレーズが綴られている。

「心擦り減らして、傷ついたって 絶対に救いたい」

「誰かが貧乏くじ引いて 一人きり泣いているのなら 夜が明けたって I don’t give up」

「眠らないで踊るよ 気が済むまで付き合おう」

「私が踊り続ければ 世界が許すと言うのならば いつまでだって Keep going yeah」

「誰かの悲しみを癒す その一瞬のために夢のようなターン決めよう」

 歌詞を踏まえるとこの歌は、これからも人前で踊っていく、表現していく意思の表明であり、自身の活動についての力強い宣言なのだろう。その芯には、センターの重圧に苛まれた自分と同じように、孤独で苦しむ人のために踊りたいという思いがある。加えて、過去の自分に起きたことをうまく歌詞に落とし込んでいる点も見逃せない。

「何度だって踊るよ 倒れても構わない」
(過呼吸で倒れたことを連想させる)

「いつかの自分 死なせない この腕で守る」
(在籍中は右腕のケガで苦しんでいた)

 こうしたドキュメンタリー要素はもちろん、グループとの関係やメディアの映り方、そういうものもすべて引っ括めて作品の一部としてしまう。その表現に対する飽くなき姿勢に、興奮させられるのだ。

■荻原 梓
J-POPメインの音楽系フリーライター。クイックジャパン・リアルサウンド・ライブドアニュース・オトトイ・ケティックなどで記事を執筆。
Twitter(@az_ogi)

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