乃木坂46 堀未央奈、異例の卒業発表 ソロ曲「冷たい水の中」MVに込められた未来に向けた覚悟

 そんな堀にとって大きなターニングポイントとなったのが『ホットギミック』への出演。この作品以降、堀は様々なインタビューで女優を志望していることを公言しており、卒業後はいちから芝居を勉強していくことを「たくさんの人に何かを届けられる人になりたいです」という思いとともにブログに綴っている。今年10月に『ホットギミック』についてのインタビューの中で堀は、演技について話をする中で「ある意味、嘘がつけないというか、嘘が下手な人はこの世界は向いていないなと。自分も正直にやっていかないといけないなと強く思いました」と語っている(参考:堀未央奈と桜田ひよりにとって『ホットギミック』はどんな作品に? 公開から1年を経て明かす思い)。演技に対する自分なりの考え方が表れた言葉であると同時に、時期的にも女優として前を向き始めた堀の思いが滲み出た一つだったように思える。

 この7年間のアイドル人生は堀にとって楽しいことばかりではなく、時に厳しい現実を突きつけられることもあった。センター抜擢からの、アンダーメンバーの経験。葛藤の末に、堀は「諦めないこと、貫き通すこと、なんでも楽しむこと、乗り越えられない壁はないこと」を見出していく。堀のそばにいたのは乃木坂46のメンバー、そして青春をともにした同期の2期生。Instagramに綴られている一人ひとりへのメッセージが、固い絆と惜しみない愛を伝えている。

 「バレッタ」の制服を脱ぎ捨て、卒業を発表し、「もっともっと冷たい水の中へ」と新たな世界に身を投じる堀。一人の表現者として、山戸監督ともに作り出した「冷たい水の中」は堀が叶えたかった夢の続きであり、これからの未来に向けた覚悟の証だ。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

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