加藤ミリヤ、初カバー盤で出会える新たな表現 椎名林檎、King Gnuら名曲カバーに映し出された“歌う”ことを楽しむ姿

加藤ミリヤ、初カバー盤で出会える新たな表現 椎名林檎、King Gnuら名曲カバーに映し出された“歌う”ことを楽しむ姿

 加藤ミリヤがデビュー15周年イヤー企画第3弾として、自身初となるカバーアルバム『COVERS -WOMAN & MAN-』をリリースした。これまでの彼女は「原曲に敵うはずがない」といった理由からカバーに対して消極的だった。だが、新型コロナウイルスの影響による自粛期間に、InstagramのIGTVで弾き語り歌唱動画をアップする中で、いくつかカバー曲を披露。その純粋に歌を楽しむことが彼女の気持ちに変化をもたらしたのだという。かくして、加藤ミリヤは本作の中で、日本の音楽シーンを彩ってきた数々の名曲たちに1人のシンガーとして真正面から立ち向かうことになったわけだ。

 2枚組となる本作。DISC1にはいわゆる“歌姫”と呼ばれる女性アーティストたちの楽曲がまとめられている。1曲目は椎名林檎の「本能」。ファンクやソウル、ヒップホップなどを呑み込んだ多国籍バンド・ALIによるジャジーでグルービィな演奏の上で、彼女はアダルトで艶っぽい歌声を響かせていく。随所に巻き舌を盛り込むなど、原曲を歌う椎名林檎へのリスペクトを感じさせつつも、確実にカバーだからこそ引き出された新たな加藤ミリヤの表情が堪能できる仕上がりだ。

加藤ミリヤ 『本能』(2020.11.25 Release『COVERS -WOMAN & MAN-』より)

 同様に、安室奈美恵への多大なる敬愛を込めながら独自の解釈で歌われる「Don’t wanna cry」では、アレンジを務めた理貴によるビート&トラックメイキングの手腕が光る。どこかローリン・ヒルのナンバーのようなニュアンスを感じさせるアレンジメントは、ミリヤ自身のアイデアを元に構築されていったのだという。また、盟友である青山テルマ(feat.SoulJa)の「そばにいるね」では、アレンジャーにCarlos K.を起用。美しく壮大なストリングスをフィーチャーしたトラックの上に、せつなさの中に凛とした強さを感じさせる歌声を乗せている。Coccoの「強く儚い者たち」は一見、その人選と選曲に意外さを感じさせもするが、実は加藤ミリヤがデビュー前に受けたオーディションで歌った曲という、思い出深い1曲でもある。今回のカバーではトオミヨウによる心地よい浮遊感のあるサウンドと共に、癖をつけずまっすぐに澄んだ歌声を届けている。その瑞々しい表情は、聴き手に新鮮な感動を与えてくれるはずだ。

 一方、DISC2には男性アーティストの楽曲カバーを収録。ソロシンガーのみならず、バンドの楽曲も多数選ばれているところが興味深い。各曲にハイセンスなアレンジャーをぶつけることで想像を超える化学反応を生み出している点はDISC1と同様であるが、女性ならではの視点で、より加藤ミリヤのオリジナリティを全面に出したボーカリゼーションが味わえるのがDISC2の特徴と言えるだろう。

 King Gnuの「Teenager Forever」はその歌詞の内容的に、10代でデビューし、女子高生のカリスマとして圧倒的な支持を得た彼女がチョイスするにふさわしい1曲だ。King Gnuの常田大希の実兄であるバイオリニスト・常田俊太郎がアレンジを手掛けるというミラクルなコラボによって生まれたドラマチックなトラックと、その上で放たれる加藤ミリヤの光が見える圧巻の歌声は、原曲ファンをもきっと唸らせることになるはずだ。

加藤ミリヤ – Teenager Forever

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