『涙流るるまま』インタビュー

南條愛乃に聞く、『グリザイア』シリーズと築いた作品との理想的な関係「どの曲も大事な相棒みたいな存在」

 南條愛乃が、新シングル『涙流るるまま』を11月25日にリリースする。同作は、劇場公開アニメ『グリザイア:ファントムトリガー THE ANIMATION スターゲイザー』主題歌「涙流るるまま」と、スマートフォンアプリゲーム『グリザイア クロノスリベリオン』主題歌「新世界」が収録された、『グリザイア』シリーズ満載の一枚になっている。

 南條愛乃と同シリーズのタッグが始まったのは2014年のTVアニメ『グリザイアの果実』から。南條は声優としてもマキ役で参加するなど、声優アーティストと作品において理想とも言える関係性を築いてきた。インタビューでは「大事な相棒」「自分の年齢とともに姿形を変えていくイメージがある」と語っていたが、『グリザイア』シリーズ楽曲と歩んできた6年とは。(編集部)

『グリザイア』関連曲は熱い中にも凛とした感じがある

南條愛乃「あなたの愛した世界」

ーー南條さんと『グリザイア』シリーズとの関わりは、2014年のシングル『あなたの愛した世界』(TVアニメ『グリザイアの果実』エンディングテーマ)から始まっています。

南條愛乃(以下、南條):ああ、もう6年も経つんですね。

ーー『グリザイア』シリーズならではのサウンドや楽曲の趣向というのがあるかと思いますが、南條さん自身は『グリザイア』関連楽曲の特徴や魅力ってどういうところだと感じていますか?

南條:疾走感もあり力強い感じはするんですけど、どの曲もどこか儚さがありつつ、全体的に綺麗な印象があります。例えば「黄昏のスタアライト」(TVアニメ グリザイアの楽園「カプリスの繭」編 エンディングテーマ)もただ熱血みたいな感じではなく、熱く盛り上がる中に凛とした感じもあって。やっぱり女の子たちがすごく過酷な環境に置かれて、命をかけて戦う作品ですし、その儚さとか女の子たちが持っている純粋なところもあるからこその綺麗さみたいなものが、『グリザイア』シリーズ全体を通して感じられます。

南條愛乃「黄昏のスタアライト」

ーー『グリザイアの果実』や『グリザイアの楽園』では楽曲のみの参加でしたが、『グリザイア:ファントムトリガー』からは声優としてもマキ役で作品に関わるようになりました。キャストとしても参加することで、楽曲との向き合い方にも変化は生じるものでしょうか?

南條:マキ役で参加することで作中のキャラクターたちともより身近に接している感覚があって。そういうところは違いとしてあるかもしれないですね。それ以前の『グリザイア』シリーズだと、キャラクターたちに対してもゲスト様をお招きするような、またはゲストとして招いてもらってるような……という接し方だったんですけど、『ファントムトリガー』のキャラクターたちに対してはゲストというより仲間や友達、きょうだいみたいな距離感の近さをどうしても感じてしまうんです。でもだからといって、歌うときに『ファントムトリガー』のほうを大事にするとかそういうことではなくて。曲としてはどれもライブでずいぶん歌わせてもらっていますし、どの曲もすごく大事な相棒みたいな感じです。

ーー作中のキャラクターをより身近に感じることで、テーマ曲を歌う際により理解が深まるということもあるのでしょうか?

南條:確かにそこは違いますね。キャストとしてアフレコにも参加するわけなので、そうすると主題歌だけを担当して外から見ているときとは違って、その作品の空気感を内側から感じることができるわけですから。でも、その曲にまつわるヒントというか、自分の中の記憶や体験が物理的に増えるとか、そのぐらいの違いですかね。私の場合はそういった楽曲をライブで歌うことが多くなるので、タイアップ作品は作品としてあるけど、ファンの皆さんとの思い出の積み重ねのほうが勝ってくるかなという気がします。レコーディングの段階では手元にある資料とか、アフレコに参加していたらそこでの体験というのが、その曲に対する引き出しになるのかなと思うんですけど、リリースされて皆さんの手元に届いて、ライブで披露するっていう段階に入ると、もうあとは曲とお客さんとの関係性次第というか。「この曲をやると盛り上がるよな」とか「この曲をやるとみんなしっとりと聴いてくれるよな」とか、曲とお客さんとの関係性が育っていくイメージのほうが強いですね。

誰のことを歌っているかがピンポイントで目に浮かぶ

11/27(金)劇場上映『グリザイア:ファントムトリガー THE ANIMATION スターゲイザー』PV

ーー今回のシングル『涙流るるまま』には、11月27日に劇場公開となるアニメ『グリザイア:ファントムトリガー THE ANIMATION スターゲイザー』(以下、『スターゲイザー』)のエンディングテーマ「涙流るるまま」と、スマートフォンアプリゲーム『グリザイア クロノスリベリオン』のオープニングテーマ「新世界」の2曲が収録された、『グリザイア』尽くしの1枚となっています。

南條:今回はすっごく強いですね。『グリザイア』シリーズの楽曲は毎回、聴くとドーンと攻撃食らったみたいなインパクトがあるんですけど(笑)、そういう場合はカップリングでほっこりした曲を作ってバランスを取って、何度もループして聴けるように作ったりしているんです。でも、今回は表題曲もカップリングも『グリザイア』シリーズ楽曲なので、集中して聴くとすごい充足感というか、自分も一緒に戦った感が強い1枚になったんじゃないかなという気がします。

ーー大作映画を1本見終えたあとに感じる、心地よい疲労感が感じられるというか。

南條:「はあ、聴いたなあ」みたいなおなかいっぱい感みたいな。でも、今回はカップリング曲が「新世界」なので……私、歴代の『グリザイア』シリーズの中でも、「新世界」は一番攻撃力が高いなと思っているんです(笑)。でも、何度も繰り返し聴きたくなってしまう曲なので、テーマ的にはハードめの2曲が揃っていますけど、聴けば聴くほど感情移入できる曲たちなので、「ああ、もう十分!」とはならず「もう一回聴いちゃおうかな?」みたいなループが始まるんじゃないかな。

ーーこれまでの『グリザイア』シリーズナンバーはアップテンポの楽曲続きだったので、「涙流るるまま」がバラードだと知ってとても驚きました。かつ、『スターゲイザー』のストーリーを踏まえて歌詞を読むと、物語とのリンクがかなり強いなという印象も受けます。

南條:そうですね。これまでの『グリザイア』シリーズの楽曲って、誰かの目線に置き換えたら「この人のことを歌っているのかな?」とか「この人からこの人に対して歌っているのかな?」みたいな、いろんな当てはめ方ができる曲たちだなと思っていんたんですけど、今回の「涙流るるまま」は誰のことを歌っているかがピンポイントで目に浮かぶので、私の中でも今までで一番作品とリンクする部分が多い曲だなと思いました。なので、これが映画本編を見終わったあとにエンディングテーマとして流れると、より泣けるのかなとか。劇場で聴くのが楽しみな反面、泣いてしまいそうで怖いというか、そういう期待もあります。