BTSは人生にいつだって寄り添ってくれるーーグローバル記者会見で語った、アルバム『BE』に込めたメッセージ
メンバーによる全8曲の解説も
楽曲に関しては、JIMINがPM(Product Manager)として活躍したと明かされる。「SUGAさんが今回提案してくださって、PMを担当しました。そんな大きな役割をしたというわけではなくて、メンバーの意見を集めて会社に送ったり、また会社の意見をメンバーに伝えたり……そういった簡単な役割をしてきました」と少々謙遜気味に語りながらも、今回のアルバムのタイトル『BE』について力強く説明を続ける。
本アルバムのテーマである「Life Goes On」から、変わった日常にどう人生を維持していくか、たくさんの話を盛り込みたかったこと。そのなかでオープンな意味を与える『BE』という単語が今回のアルバムのコンセプトにふさわしいとして決定したのだそう。そして、メンバーの口からは各楽曲の特徴が語られる。
1曲目の「Life Goes On」はRMが「アルバムの中核的メッセージ」と説明。実は「Dynamite」以前から、このアルバムについての話し合いが行われており、この2曲のルーツは同じだという。夏の盛り上がるリズム感で希望を感じさせる「Dynamite」と、冬にぴったりなソフトで温かい「Life Goes On」へ。季節に応じて変化する表現の広がりにも注目したい。
2曲目の「Fly To My Room」はJIMINが「僕とJ-HOPEさん、SUGAさん、Vさんのユニット曲です。今自由に行き来ができない中、これから旅行という概念自体が変わってくるのではないかという疑念から始まった曲。自分の部屋を旅行するというとても楽しい曲」と紹介した。
3曲目の「Blue & Grey」の解説は「僕が(制作)作業に参加した」というVが担当。「アコースティックギターポップバラードで、内面の不安の感情をブルー、グレーの色に表現して歌詞を書いてみました。全体的には少し暗いかもしれませんが、ギターのサウンドが穏やかで温かい雰囲気を漂わせるので期待してください」と、その出来栄えに自信を覗かせる。
4番目のトラックにあるのは3年ぶりという「Skit」。RMが「コンセプトを決めると僕たちはうまくいかないので、自然にマイクを付けておいて洗練されていない自分たちの声を盛り込みました。ビルボード『HOT100』1位になったときにこういう気分だったのだなとリアルに感じ取ることができるのではないかと思います」と話し、「Dynamite」とセットで聴いて楽しむ方法をレクチャーしてくれた。
5曲目の「Telepathy」はJINが「SUGAさんが作ったレトロポップディスコサウンドだ」と説明。「全世界のファンの方々と会うことができない、切ない現実を歌詞に盛り込みました。僕たちはファンに会うときに一番幸せで、今は少し離れていますが“いつも一緒にいるということを感じている”そういう望みを盛り込んだ曲です」とファンに対する愛情も伝えながら解説した。
6曲目の「Dis-ease」は、作曲・作詞に参加したJ-HOPEが解説を担当。「人によって自分の持っている心理的な病があると思います。僕の場合は休息が与えられたときに、そのまま楽しむことができずに、不安というか不便を感じてしまう職業病を例えてみました」と笑顔で語る。病というキーワードではあるもののポジティブなメッセージが込められているといい、BTSの乗り越える力を象徴する1曲となりそうだ。
7曲目の「Stay」はJUNG KOOKが紹介する。「僕とRMさんとJINさんが参加したユニット曲です。このユニットはたぶん初めてだと思います。新しい雰囲気の胸が高鳴るフューチャーハウスな楽しい曲」だと話し、こちらも“離れていてもいつも一緒だ”という会えないファンへの愛が込められており、寂しい気持ちを慰めてくれる楽曲となるに違いない。
そして、ラストに「Dynamite」が収録された理由について、RMはコンサートができない今、いつも花火や華やかな演出で彩られるあの美しいフィナーレのような感覚を、希望とエネルギーに満ちた「Dynamite」に感じてほしかったと明かした。アルバムを聴いた後、コンサートで得るようなポジティブな気持ちを抱いてほしいという、彼らの祈りが込められた曲順に胸が熱くなる。
23日の新曲初披露、25日の『グラミー賞』発表への期待
「Life Goes On」の初披露は11月23日(韓国時間)に開かれる『2020アメリカン・ミュージック・アワード』だという。また、25日午前2時ごろにアメリカ音楽界最高の栄誉として名高い『グラミー賞』の各賞候補発表が控えており、BTSの名前が挙がるのではないかと期待が高まっている点についても言及した。
RMは「1つも緊張していないといったらウソですね。いつもインタビューなどで、次のゴールや目標を聞かれたときに話していたのが、『グラミー賞』に関するものだったので。緊張していますし、期待しながら25日を待っています。もしノミネートされるのであれば光栄で、できなくても“まあ、いいか”とラクに考えようとしているけれど、朝方に発表されるということで、僕たちも夜ふかしをするのではないかと思います」と率直な思いを語った。
さらにメディアからの「世界で最も人気のあるアーティストになりましたが、これからどのようなアーティストになりたいですか?」という質問に、J-HOPEが回答。「デビュー当時の目標はハッキリしていました。チャートで1位を獲れるアーティストになりたい、(ソウルの)体操競技場でコンサートができるアーティストになりたい、など。でも今は、精神的に本質的に考えるようになったと思います。この位置が、人を作ると思うんですが、僕がどんな人なのかを認知して、健全に、健康に、音楽も、パフォーマンスも、表現することが、究極的な、最終的な目標になるのだと思います。そして地道に本質を忘れずに、続けて発展していく人になりたいと思います。素敵な質問ありがとうございます」と、指ハートを添えて答えた。
高みを目指して進化し続ける希望と、日常のささやかな幸せを忘れない愛と、寂しさ、悔しさを共有していく勇気……。世界中からBTSが求められているのは、何があったとしても続いていく人生に、彼らがいつだって寄り添ってくれるから。そして、過酷な道のりを、力強く美しく歩いていく姿を見せてくれるから。アルバム『BE』が、そして「Life Goes On」のパフォーマンスが、このコロナ禍で傷ついた多くの人の心を慰め、元気づけ、そして25日には最高の知らせで心が晴れることを期待している。