荻原梓のチャート一刀両断!

Sexy Zone、“大人な魅力”放つ『NOT FOUND』がチャート首位 多様なカップリング曲まで歌いこなすボーカルに感じる成長ぶり

 そんな彼らが歌いこなす、充実のカップリング曲も見逃せない。

・「約束」(通常盤収録)
 世の中は激変したけれど、それでも変わらず自分たちらしく生きていこうよ、と聴き手を優しく包み込むように歌いかける極上のバラードソング。微かに60年代のソウルミュージックのフィーリングを漂わせているのも良い。

・「Arms Around Me」(通常盤収録)
 海外のR&B〜ポップスを意識したような洗練されたサウンドと全編英詞の一曲。海外進出を視野に今年<Top J Records>へ移籍した彼らだが、コロナ禍によって思うように活動はできていないはず。その中でもこうした海外を意識した作品に取り組んでいるのが頼もしい。

・「Sugar Step」(初回限定盤A収録)
 “甘い一歩”と題したメロウなヒップホップ曲。ローファイなトラックに日常感あふれる穏やかな歌詞が乗る。ゆったりとしたビートは過ぎていく一日一日を表しているかのようだ。優しくとろけるような5人のボーカルワークにも注目。

・「Bad Girl」(初回限定盤B収録)
 歌謡曲的な哀愁を持ちながらも、ドラマチックで豪華なアレンジと疾走感のある音作り。編曲を担当したのは、彼らがデビューしたときから関わりのあるCHOKKAKU。今回の収録曲でこのグループのイメージと最も近い一曲だ。

 こうした多様な収録曲だが、やはりどこか“大人の余裕”を全体に感じさせつつ、それでもまだ少し“背伸び感”も絶妙なバランスで配合されている。20代の彼らの今この瞬間にしかない魅力を味わえる一作と言えるだろう。

■荻原梓
J-POPメインの音楽系フリーライター。クイックジャパン・リアルサウンド・ライブドアニュース・オトトイ・ケティックなどで記事を執筆。
Twitter(@az_ogi)

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