ジェニーハイ、音楽×お笑いで拡張する独自の世界観 アリーナツアーも発表した無観客配信ライブ
すると、ここでイッキュウが「友達来てるんで連れてきてもいいですか?」と誰かを連れてきた。白いジャケットが決まった彼女はアイナ・ジ・エンド(BiSH)。アコースティックギターを弾くイッキュウとともに歌うのは、もちろん彼女をフィーチャーした「不便な可愛げ」だ。歌い終えて「しゃべることないんで帰ります」とそそくさと帰っていくアイナに、「好きな食べ物だけ教えて!」と追いすがる小籔。カメラのフレームの外から聞こえてきた「白いごはんです」というアイナの答えがクールだった。
いよいよライブも終盤戦。ドラマティックなメロディがやっぱり最高なデビュー曲「片目で異常に恋してる」ではマイクを握るイッキュウの周りにくっきー!と川谷、そしていつの間にか戻ってきたアイナが集まってくる。そしてやっぱりアイナが「しゃべることないんで帰ります」とそそくさと帰っていくと、ここで新曲「コクーンさん」を披露した。アーバンファンクなリズムと流れるようなメロディがぐっと耳を惹き付ける楽曲である。「もう時間なんでね、ラスト18曲……」というくっきー!のボケに「18曲! めっちゃ多い! 18曲!」とさすがの間でツッコミを入れる小籔というやりとりを挟んで、最後に披露されたのは「シャミナミ」、そして新垣のピアノと川谷のかき鳴らすアコギが盛り上げるバラード「まるで幸せ」。さんざんここまで笑かしてもらったのに、この美しい曲を聴いているとちょっとキュンとしてしまうのがなんか悔しい。
終演後には次回のワンマンライブとして、2021年2月7日に国立代々木競技場 第一体育館で開催する初のアリーナ公演『アリーナジェニー』、そしてこの日のライブでも披露した新曲「コクーンさん」の配信リリースを発表。ますます広がっていくジェニーハイワールド、やっぱり目が離せない。
■小川智宏
元『ROCKIN’ON JAPAN』副編集長。現在はキュレーションアプリ「antenna*」編集長を務めるかたわら、音楽ライターとして雑誌・webメディアなどで幅広く執筆。