花澤香菜、早見沙織、上田麗奈……『鬼滅の刃』で重要キャラ担う女性声優たちの目覚ましい活躍
早見沙織(胡蝶しのぶ役)
甘露寺蜜璃よりも先にアニメ本編に登場し、不思議な佇まいで見るものを惹きつけるのが、蟲柱こと胡蝶しのぶ、そして彼女を演じてるのが早見沙織だ。2007年にデビューして以来、彼女も多くのヒロイン役を務めてきた。
穏やかさと柔らかさが混ざり合った深い声色で、『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』の雪ノ下雪乃役のような、クールで落ち着いたキャラクターを演じることが比較的多い早見。さらに『賭ケグルイ』の蛇喰夢子役のような狂気さを持ったキャラクターをはじめ、映画『聲の形』で演じた西宮硝子役では先天性の聴覚障害を患い、発声を伴ったコミュニケーションがうまくできない女子高校生という非常に難しい役どころを演じるなど、高い演技力を持った声優として評価を高めてきた。
2015年のアーティストデビューから5周年を迎えた今年には、ミニアルバム『シスターシティーズ』『GARDEN』の2枚をリリースしている。特に『GARDEN』では、5曲中4曲の作詞・作曲を早見が担当(ボーナストラックは除く)。編曲は富田ラボらに任せつつ、テンションや温度感が異なる5曲をそれぞれ歌い分け、歌唱力の高さも示している。ソウルミュージック〜シティポップ的なサウンドテクスチャーを保ってきた早見の音楽は、熱情を込める彼女の歌声によってより映えていくのだ。
原作漫画を読んでいる方はご存知かと思うが、胡蝶しのぶの振る舞いには激しさと和やかな一面を行き来するような言動が散見される。時として抑えられない殺意を秘め、にこやかに笑って見せる彼女の二面性は、早見の演技とも相まってミステリアスな人物として表現されていた。胡蝶しのぶはその後のストーリーでも活躍する場面があるので、アニメ化を心待ちにしたい。
上田麗奈(栗花落カナヲ役)
そんな胡蝶しのぶの継子であり、主人公の竈門炭治郎の同期でもある栗花落カナヲを演じるのが、上田麗奈だ。アニメ『てさぐれ! 部活もの』で園田萌舞子として出演した際には、合計18人の姉妹を一人でこなし、アニメファンに強い印象を残した。その他アニメでは『プリパラ』の黄木あじみ役、『SSSS.GRIDMAN』の新条アカネ役、ゲーム作品では『アイドルマスター ミリオンライブ!』で高坂海美役を演じるなど、声色も性格も異なるキャラクターを演じ分ける技術を持った若き女性声優だ。
2016年にはミニアルバム『RefRain』を発表しソロアーティストデビュー。今年3月には2ndアルバム『Empathy』をリリースした。『Empathy』は、『RefRain』でも共同作業したTECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDのメンバーだけでなく、ORESAMA、田中秀和、広川恵一、加藤達也といったアニソンシーンで活躍するクリエイター以外にも、LUCKY TAPESのKai Takahashiと気鋭のソロシンガー、笹川真生も参加した作品だ。それまでに歌ってきたキャラクターソングとはちがい、落ち着いた楽曲が多く、彼女本来のクリアな声を楽しめる一作になっている。
当初、『鬼滅の刃』オーディションでは胡蝶しのぶや竈門禰豆子などを受けていたが、スタッフサイドからの指名によって栗花落カナヲを演じることになったと、本人は語っている。ストーリーの始まりこそ、言葉少なに、感情の抑揚が少ないカナヲの役は、見る人が違えばぶっきらぼうに見えたり、ひどく冷たく見える瞬間もあるだろう。原作完結までのアニメ化も期待されるなかで、後々のストーリー展開で変わっていく栗花落カナヲに、上田はどんな感情と表情を吹き込むのだろうか。
■草野虹
福島、いわき、ロックの育ち。『Belong Media』『MEETIA』や音楽ブログなど、様々な音楽サイトに書き手/投稿者として参加、現在はインディーミュージックサイトのindiegrabにインタビュアーとして参画中。
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