ちゃんみなが挑戦した“新感覚”のライブ表現 音楽をひとつの映像作品に昇華したYouTube配信を観て
「Very Nice To Meet You」も、ちゃんみなが主役となっていたこれまでの映像とは違い、男女のダンサーが中心となりパフォーマンスが進む。その意味でも、自分の恋人にちょっかいを掛ける相手に対して「Very Nice To Meet You」と皮肉たっぷりに挨拶をするこの曲の内容を丁寧になぞっていくような、物語性の強い構成が印象的。映像でも男女が踊るシーンに続いて、間女を表現する女性ダンサーとちゃんみなが出会い、その相手をちゃんみなが画面の外に押し出すという展開で楽曲と映像は終わる。
今回の『THE PRINCESS PROJECT - In The Screen』の中で、通常のライブパフォーマンスに一番近い感触があったのは「Never Grow Up」だろう。4人のダンサーを従えて中心でパフォーマンスするちゃんみなの姿を、カメラも正面からの画を基本に押さえ、ライブを見るかのような視点や画角で楽曲は展開。途中で挟まれた「今日は観てくれてありがとう。スクリーン越しのあなたもとても綺麗です。今日も一緒に歌ってね。singing!」というメッセージもライブを感じさせる。
自撮り棒とカメラを持ってプールに飛び込み、自身が映像を撮るセルフィー的な映像を中心に展開した「ボイスメモ No.5」は、「偽りと願望」を歌う楽曲性と刹那的なパーティ感の交差が映像に芯を与える。
そして今回の映像で最もMV的な構成を感じさせた「Angel」をパフォーマンスし、曲が終わると笑顔でカメラに向かって投げキッスを放ち、画面の外に消えていくちゃんみな。ここで本編は終了した。
シングル『Angel』自体が分化できないものを表現し、本人もさまざまなインタビューで「自分でも掴みどころがない作品」と話しているように、その作品を映像として形作るには、今回の『THE PRINCESS PROJECT - In The Screen』のように、曲ごとに、シーンごとに、シーケンスごとに様々な表情を見せ、表現そのものもパラフレーズしていくかのごとく構成する必要があったのだろう。その意味での、今回のプロジェクトは「新しい表現」であるのと同時に、「正しい表現」だったと感じさせられた。
今回の映像は10月4日までアーカイブされているということなので、ぜひちゃんみなの生み出した新感覚ライブをその目で確かめていただきたい。
オンラインライブ映像はこちら
※10月4日 23:59まで期間限定公開