I Don’t Like Mondays.に聞く、“マイナスな感情”を音楽で表現する意義「優しい言葉を歌われても僕自身は何も響かない」

アイドラ、マイナスな感情を肯定する意義

ブレブレなところもI Don’t Like Mondays.のカラー

KENJI

ーーいや、そのカバーの話はすごく重要だなと思います。まさにおっしゃった通り「これをやったらI Don’t Like Mondays.っぽくないんじゃないか」みたいなことって、やっているときは気づかないじゃないですか。でもこういうタイミングで振り返ってみると、自分で自分を縛ってたようなところもあったなっていうことですよね。

YU:まさにそうですね。

ーー本当に最近の曲は何でもありだなっていう感じがするんですよ。それはもちろん歌詞もですけど、サウンドも。曲や音の部分での変化についてはどうですか?

YU:僕らって結構メンバー全員、かなりこだわりが強いので、たとえば今回の「MR.CLEVER」だったらSTYさんっていうプロデューサーの方に入っていただいたんですが、僕らはいつも、プロデューサーの方に入っていただいても9割5分くらい自分たちでやっちゃうんですよ。でもそれが自分たちで壁を作っちゃってるっていうか、そこに限界も感じてきたし、同時に自信も生まれてきて。今は「いったんこれ、5割ぐらいでとどめてお願いしてみたらどうなるんだろうね」って感じなんです。そういう余裕が出てきたのかなって。「MR.CLEVER」も5割とは言わないまでも、6割5分ぐらいまで自分たちが作って、そこからはプロデューサーさんと一緒にやってみようっていう流れになって。それで新たな化学反応ができたのかなと。

SHUKI:去年末ぐらいかな、僕らのことをずっと見てくれてるEIGOさんっていうプロデューサーの方がいるんですけど、彼がこれからの僕らは「もうちょっと粗さを残していったほうがいいんじゃない?」というアドバイスをくれて。そこから、レコーディングでもとことん突き詰めるよりは人間味をだしたりとか、ミックスの面でもちょっと粗さを残したりとか、不完全さを残すことによって僕らの特徴とかを探していくということもしてきましたね。やりすぎないようにするっていう。結果そっちの方が余力が出たり、おもしろいものになることもあるんです。

KENJI:それはあるね。昔はレコーディング前にガチガチに作り込みすぎてた。でも何枚か出してみて、やっぱ自分たちのスタイルっていうのもちゃんとできてきたので、ここらで他の人に任せて新しい化学反応を起こそうよ、みたいな感覚になれたんです。「Sunflower」もGreat Good Fine Okっていう海外のアーティストとやらせていただいたんですけど、それもうまくいったし。すごく肩の力抜いてできているのかなと思います。

CHOJI:だから、いつものI Don’t Like Mondays.には入らなさそうなギターのサウンドとかーーワウギターだったり、ショートディレイだったり、そういう細かい話なんですけど、そういうのもどんどんトライしていっていいのかなって。結構自由にやってますね。『FUTURE』にはギターを入れない曲とかもあったんですけど、逆にスペースがない、不自由な中で自分がどれだけギターを残すかみたいな。結局ライブでは弾くわけですから。

ーーどうしてそこまで自由にやれるようになったんでしょうか。まあ、I Don‘t Like Mondays.はもともとジャンルをクロスオーバーさせながら音楽を作ってきたバンドではありますけど。

YU:前回のツアーが成功したことである程度自信もできて。今までだったらこんなにブレブレで大丈夫かっていうのもあったんですけど、こんなにブレブレでやってきてもこんなにファンがついて、おもしろいって言ってくれる人たちもいる。だったらそれを思い切りやってもいいのかもみたいな。今まではちょっと様子を見ながらやっていたことが、それが僕らのカラーだって言えるようになったんですよね。

自分たちらしさを試行錯誤して生まれた「MR.CLEVER」

SHUKI

ーー「MR.CLEVER」はどういうふうにできた曲なんですか?

SHUKI:最初は、今年の僕らのブランディングをどうするっていう話から、とっかかりとしてはビジュアルのイメージ、スーツを着たいよねとか、やっぱりシュッとしてる感じだけど、綺麗すぎない感じでとか、そういう話をしていたんです。そこから、そういう僕らがやっていて一番ハマる曲って何だろうって結構話し合ってできた曲ですね。そのために10パターンぐらいデモを作って「僕らっぽいって何なんだろう」と試行錯誤して。わかりやすく言うとたとえばBメロがラップっぽいところとかは普通のバンドっぽくなくてひねくれてるし、そこにこの歌詞が乗って、余計ひねくれてるっていうか。けど聴いた感じはポップだから、何も考えずに聴けば楽しい感じに聞こえる。そういうのが今の僕ららしいのかなって。

YU:あとはめちゃくちゃダンサブルで踊れるってわけじゃないんですけど、ノれるサウンド、踊れるサウンドっていうのは僕ら好きだし、そのエッセンスは入れたいなと。ライブで盛り上がるのも間違いないし。

KENJI:こういう期間なのでリモートで作っていったんですけど、意外とよかったよね? 作りやすかったです。普段よりもアイデアが出て。なんでだろうって思ったんですけど(笑)。

SHUKI:はははは。

KENJI:面と向かってないぶん出しやすいのかな。いい感じでしたね。

YU:SHUKIも言ってたんですけど、Bメロのところは、最初は普通に流れで作ってるデモもあったんです。でもなんかもうワンスパイス足りないなあっていう。この曲で今年を表すっていうテーマを先に決めていたので。決めていなかったらこのまま進めようってなっていたと思うんですけど、もっとやれるところってどこなんだろうみたいな試行錯誤はしましたね。

ーーこの曲が今年のI Don’t Like Mondays.を象徴するんだとしたら、これは結構攻めるっていうことなんだなと思うんですが。

YU:確かに(笑)。まあ、今年のアイドラというか、そもそも僕らの性格を曲で表したらどんな曲なんだろうっていう感じですよね。

SHUKI:わりとデビュー以来、一部では僕らのことを「シティポップバンド」ってわかりやすく形容する人たちがいるなかで、個人的にはそのシーンにちょっと片足かけつつ、笑顔で中指立ててるみたいな曲を作りたいと思っていたんです。意識はもちろんしてますけど、迎合するわけでもない。僕らってちょっとそういうひねくれた部分だからこそいろんな曲ができたりする部分があるので、そういうキャラクターが濃く出てるかな。

ーーそうそう。でもちゃんとポップっていう。

YU:だからサラッと聴けるっちゃ聴けると思います。

SHUKI:でも、じつは苦労しましたっていう(笑)。

KENJI:最初の種を作る段階が一番苦労したかもね。「DO YA?」もそうだったんですけど、「今年どうしようか」というところを決めるのが一番大変で。新しい部分をどういうところで見せていく? みたいな話の中で「これでいこう」ってなるまでが結構大変。でもプロデューサーのSTYさんともすごく相性がよかったですし、僕らのやりたいこともすごく汲んでくれたんで、そういう意味でも、かなりやりやすかったですね。

CHOJI:(「MR.CLEVER」は)リハでも何回かやってるんですけど、結構ライブ化けしそうな曲ですね。ドラムもすごく楽しくパターンやれるし、ベースもグイグイ来るし、ギターもいろいろ自由にやれる余地がある曲だと思ったので、楽しみですね。ライブでやるのが。

YU:うん、トラックだけ聴くとエレクトロポップなイメージがあるんですけど、意外と骨子にバンドサウンドがあって。俺もやるまではちょっと不安だったんですけど、やってみたらやっぱりライブでもやれそうだって思います。

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