I Don’t Like Mondays.に聞く、“マイナスな感情”を音楽で表現する意義「優しい言葉を歌われても僕自身は何も響かない」

アイドラ、マイナスな感情を肯定する意義

 I Don’t Like Mondays.が現在行っている5カ月連続配信リリース。その第2弾となるのが、9月23日に配信された「MR.CLEVER」だ。踊れてアガれる、思いっきり「今」にジャストなポップチューンとなっていながらも、歌詞にはシニカルでシリアスな「どう生きるか」というテーマが込められている。「え、アイドラってこんなこと歌うんだっけ?」とちょっとびっくりするような新曲である。

I Don't Like Mondays. / MR.CLEVER (Produced by STY)

 昨年9月にエイベックス移籍後初となるアルバム『FUTURE』をリリースし、新章のスタートを切った彼ら。ツアーでさらなる手応えを掴み、2020年、ここからさらに攻勢をかける……本来であれば彼らはそんなプランを組み立てていたはずで、そのタイミングで新型コロナウイルスの影響で活動を制限せざるを得なくなってしまったというのは残念といえば残念だが、そんななかでも彼らは新しい武器を磨き、今だからこそぶちかませる新しいI Don’t Like Mondays.を作り上げてきた。今年に入って次々とリリースされる新曲たちを聴けば、その片鱗がはっきりと見えるだろう。

 自分たちのパブリックイメージや実際にこれまで表現してきた世界観をある意味逆手に取って、今I Don’t Like Mondays.はさらなる進化を遂げようとしている。以下のメンバー4人へのインタビューからも、バンドの現在の充実ぶりが伺い知れるはずだ。(小川智宏)

自粛期間に訪れた音楽に対する考え方の変化

I Don’t Like Mondays.

ーーアルバム『FUTURE』から約1年、いろいろな挑戦があったり、コロナで想定外の事態が起きたり、様々なことがあったと思いますが、みなさんにとってはどんな時間でしたか?

YU(Vo):今年の2月まで『FUTURE』のツアーをやって、その後自粛期間で家に籠もらなきゃいけなくなって……その中で自分と向き合う時間もメンバーそれぞれ今までよりも多くなったんですけど、僕自身も個人として、アーティストとして、どういうものをI Don’t Like Mondays.でやっていけるかなっていうのをゆっくりじっくり考えられた時間だったかなと思っています。

SHUKI(Dr): この1年、大きかったのは、移籍したことでチームが変わるわけじゃないですか。チームとして何を押し出していくのかというところでも、僕らはどういうものかって自分自身で振り返る時間がすごく大切で。そういうことをいろいろ考えてくうちに、この「MR.CLEVER」みたいな曲も生まれてきたんですよね。

KENJI(Ba):曲作りは続けてきたし、新しいものというか僕たちがやりたいものを作り続けるってことは変わってないんですけど、その中でもこの時期だからこそできたインプットだったりとかもあって。そういう意味で2020年、新しいものを身につけた僕らが発信できることを、どんどんやっていきたいなと。この5カ月連続配信シングルっていうのはそれが詰まったものになってるんじゃないかなと思いますね。

CHOJI(Gt):うん。自分としてはたとえばクラシックギターをまた勉強したりもしましたし、また新しいI Don’t Like Mondays.のサウンドにできればなと思ってやってました。

YU

ーー音楽的な成長というか、新たな武器みたいなものも手に入れることができたわけですね。

YU:僕もピアノを買ったんですよ、緊急事態宣言直前に。今までもトライしたかったんですけど、まとまった時間がないと新しい楽器を始めるって難しいんで。今だとYouTubeとかでいろんなレッスン動画もあるので、それでこの期間、籠ってやれたのが大きかったなと。それは今後のミュージシャン人生においても、そういうことをひとつ新たに手に入れることができたのはいいタイミングだったなと思っています。作品のクオリティの面では、確実に、この期間で段違いによくなった。

ーー自粛でライブができない状況とはいえ、I Don’t Like Mondays.はコンスタントに新曲のリリースを続けてきましたよね。その曲たちを聴いていると、本当に自由度が広がったという感じがします。

YU:うん。もちろんサウンド面でトライしている部分もあるんですけど、やっぱり歌詞の世界観がバンドのキャラクターを担うかなり大きなポーションでもあると思うんですね。その部分でかなり自由を手にしたんですよ、僕が。

ーーほう。それはどういう意味合いでですか?

YU:今まで僕が歌詞を曲に乗せるときに一番大事にしていたのは、4人で作ったサウンドをいかに綺麗に響かせるか、そのサウンドの世界観をいかに広げられるかっていうところだったんです。だから人間の陰と陽があるのであれば陽の部分をフォーカスしてきたんですけど、僕らのサウンドに人間のちょっとエグい部分、ドロドロした部分っていうのをこのサウンドに乗せたらどうなるのかなって。そうやって人間らしさ、人間臭さみたいなものを大事にしようって決めたらすごく解き放たれたというか、自由になったんですね。今までだったらアイドラっぽくないとか、意味が出てきすぎるからとか、いろいろ削ぎ落とす作業をしてたんですけど、そうじゃなくなった。そういう意味ではすごく変わりつつありますね。

ーーそれはこのコロナの状況に影響を受ける中で生まれた変化なんですか?

YU:受けてないっていうのは嘘になるので、たぶん受けていると思うんですけど、次のチャレンジは何だろうって考えているときに、この状況が後押しになったというか。今だったら、世の中が劇的に変わっている中で僕らも同じように変わっても許されるなと思って。だったら思い切ってやってみちゃおう、みたいな。他にもたとえば、自粛期間中にインスタ(Instagram)でカバーをお届けしようというときにも、今までだったら絶対洋楽をカバーしていたんですよ。でも邦楽のほうがよくね? っていう。「好きなものをやってみよう、今ならよくない?」っていうのがあったりして。それはすごく小さいことなんですけど、それもこういう期間だからこそなのかなって。

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