BTSとBLACKPINK、欧米圏で人気拡大させた軌跡 ファンダムを引き寄せ続けるK-POP独自の魅力も

「注目を受けたタイミング」が活きるように作り込まれたベース

 このように、SNSでのハッシュタグとYouTubeという、どちらもファンの力によるきっかけで注目を受けるチャンスを得ながらも異なる経緯でファンダムと注目を増やしてきた両グループだが、肝心なことはその「注目を受けたタイミング」が活きるように、楽曲やパフォーマンス、MVのようなエンターテインメントとしてのベースの部分を当初から作り込んできたことにもあるのではないだろうか。「K-POPは洋楽っぽいので欧米のリスナーに馴染みやすいのでは」というのはよく言われる話だが、実際の「K-POP」と現在の欧米圏でのトレンド楽曲の構成は全く異なっている。一聴して「洋楽っぽい」ジャンルや編曲を取り入れながらも、フォーメーションダンスというパフォーマンスでの特色を生かすような派手で意外な転調、それが同じ曲で何回も起こるようなドラマチックさはK-POPならではのものだ。そのような「他に代えるものがない魅力」は固定のファンを引き寄せ、その場に引き止め続けるパワーを持っている。

 ストリーミングの登場で「楽曲やアルバムを買う」という行為が世界的に稀有なものになってきており、逆説的に「固定の購買層」自体が音楽チャートに及ぼす影響は大きくなってきている。そして、そのような「買ってまで聴いてくれる/支えてくれるファン」がSNSの隆盛によりチャーティングやビジネスにおいて強い力をもつようになった現在、「強いファンダム」を惹きつけるようなパフォーマンスづくりだけではなく、盛り上げる仕掛けや環境づくりに長けたK-POPが世界中で注目を集めるようになったことは、必然と言えるのではないだろうか。

■DJ泡沫
ただの音楽好き。リアルDJではない。2014年から韓国の音楽やカルチャー関係の記事を紹介するブログを細々とやっています。
ブログ:「サンダーエイジ」
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