BTSとBLACKPINK、欧米圏で人気拡大させた軌跡 ファンダムを引き寄せ続けるK-POP独自の魅力も
BLACKPINKは複数の要素が重なりブレイク
一方、BLACKPINKは若干異なる軌跡を辿ってきた。BLACKPINKが注目されたきっかけは、2018年にリリースされた楽曲「DDU-DU DDU-DU」のBillboard Hot100へのチャートイン(55位)だが、それ以前にBillboard Hot100にチャートインした韓国のアーティストを見ると、前述のBTSと一時期アメリカで活動したWonder Girlsを除けばPSYと元2NE1のCLのみだった。現在は自身で事務所を運営しているPSYだが、「Gangnam Style」が世界的なバイラルトレンドとなりBillboard Hot100の2位にチャートインした当時はYGエンターテインメント(以下、YG)の所属である。Billboard200にはBIGBANGと2NE1は2012年からチャートインしており、BIGBANGは2015年には北米で大規模なアリーナツアーを行なっている。事務所単位で見ればYGはアメリカのK-POPファンの間では広範囲の認知度を得ていた事務所であり、PSYとCLは多くの有名アーティストをマネジメントしているスクーター・ブラウンのレーベルに所属していた。
さらに2007年には当時YG所属だったSE7ENがアメリカ活動を試みた時期があり、2009年にはすでに現在BLACKPINKがアメリカで所属しているインタースコープと接触しており、(当時デビューしたばかりの2NE1はキャピトル所属だったが)当時プロデューサーのTEDDYがレディー・ガガの楽曲をオファーされたことがニュースになっていた(参照:naver)。このように、すでにある程度の期間をかけてアメリカ国内でのコネクションがある状態で、何かのきっかけがあればアメリカでの活動も出来るような下準備はできていたと言える。BLACKPINKが初チャートインした2018年はBTSがBillboardのソーシャル・トップ・アーティストを連続で獲得し本チャート内での存在感も増してきた状態で、「Gangnam Style」とはまた違う角度から「K-POP」というものが注目されていた時期である。
同時にアメリカ国内での“girl power”の盛り上がりと、K-POPの女性グループでは珍しいヒップホップテイストが強めのEDMというパフォーマンスの特徴など、いくつかの要素が合わさったタイミングで注目度が急速に高まったと言えるのではないだろうか。特に「DDU-DU DDU-DU」のMVが「2018年世界で最も再生されたK-POPのMV」に認定され、『YouTube Rewind 2018』で「今年のトレンドを導いた世界のアーティスト」として韓国のアーティストとして唯一選定されたことは大きな注目のきっかけになったと思われる。BLACKPINKもまたBLINKと呼ばれるファンダムを持ち、特にYouTubeの視聴においては強い団結力を持つが、女性グループは男性グループと比べるとファンダムの固さや規模では控えめになる傾向はある。しかし一方で、どうしてもファンダム中心になりがちな男性グループのリスナーと比べると、男性グループと掛け持ちしやすかったりファン以外のライトユーザーも視聴しやすいという点で、広範囲の視聴者を得やすい傾向もあると言える。