DOBERMAN INFINITY、“LDHの踊らないグループ”として追求した歌とラップ 5人それぞれの声の特徴と表現力を検証
LDH所属アーティストによる有料配信ライブ『LIVE×ONLINE』の第二弾、『LIVE×ONLINE IMAGINATION』が9月19日から9月26日にかけて開催中だ。初日を務めたTHE RAMPAGE from EXILE TRIBEをはじめ、各グループがその個性を活かした様々な演出とパフォーマンスで画面の向こうの観客たちを熱狂させている。
リアルサウンドではこれまでEXILE TRIBEに属する各グループの“歌い手”について、一人ひとりの歌声の特徴やグループとしてのコンビネーション力を分析してきた。今回はその番外編として、9月22日の『LIVE×ONLINE IMAGINATION』にも出演したヒップホップグループ・DOBERMAN INFINITYについて、先日MVが公開された「ガッチだぜ!!」を通して、MC陣から順に紹介する。
5人それぞれの「声」の魅力と、個性豊かな表現力
まず4人のMC陣。歌い出しからスピード感満載に詞を叩き込んでいるのがP-CHO(0:53~)。トーンは直後に歌うGSとも近しいが、よりエッジが鋭く抑揚の効いたフロウと弾むような聴き心地が特徴。音の粒立ちとメロディとの調和のバランスが程良いためどんな楽曲でも調和がとれるほか、曲が展開するタイミングで彼の声が差し込まれることで独特の小気味良さが感じられることが多い。
P-CHOと交互にパートを分けるGS(0:57~)は、パワフルで少し厚みのある声質とアタック感の強さで言葉をひときわ明瞭に聴かせるタイプのラッパーだ。その特徴によりアッパーな曲ではビートのノリを強調するような聴き心地がある。また一方でバラード曲においても、その声が言葉の力を強めるため非常にエモーショナルに響くという点も魅力の一つである。
続いて登場するKUBO-C(1:08~)の声は、凄みのある低音がMC陣の中でもひときわ特徴的で印象に残りやすい。その声が適度な抑揚でビートに乗ることでギターの歪んだ音のような高揚感が感じられる。そして彼もまた、バラード曲ではその無骨な声色から良い意味での泥臭さや素朴さが感じられ、胸に残るような聴き心地を生んでいる。
続くSWAY(1:16~)は、少し鼻にかかったような程良いハスキーボイスと、息で作られる微細なアクセントを駆使した滑らかで軽快なフロウが特徴。音抜けが非常に良く聴き取りやすい声質のため、常に個性を発揮しつつメロディと調和し耳に残る。また、ラップ以外の歌メロの歌唱においても、温かく深みのある歌声を披露している。
最後に、ボーカルパートを担当しているKAZUKI(1:56~)。MC陣の声に比べて際立ってクリアな音色、かつビロードのように滑らかでキメの細かい美声が印象的。発声のコントロールに長けており、自在に変化するビブラートをはじめとして全体のボーカリングが繊細な抑揚に富んでいるため、1人の歌声だけで楽曲自体のスケールを広げるほど強い存在感を発揮している。
なお、KAZUKIはコロナ禍による緊急事態宣言をきっかけとし、今年の5月から「歌ってみた」動画を何作かYouTubeに投稿しており、中には100万回再生を超えているものもあるなど話題を呼んでいる。
今後グループとしてだけでなく、一人の稀有な実力を持ったボーカリストとしても注目されていくであろう存在だ。