テミン、自分だけの表現を突き詰めたソロ作 SHINeeやSuperM、それぞれの活動ごとに見せる魅力も考察

 今回リリースされたソロアルバムは、様々な映画からインスピレーションを得ようとした時に、アルバム自体をひとつのストーリーがある映画のように紐解くようにしたら面白いのでは、というアイデアからリファレンスを“映画”に決めて企画したアルバムということだ。危険な相手に魅惑されて愛を告げるリード曲「Criminal」から始まり、過去の愛の思い出を振り返る「2 KIDS」で終わる流れは確かに映画的と言えるだろう。

TAEMIN 태민 'Criminal' MV
TAEMIN 태민 ‘2 KIDS’ MV

 テミンの所属するSMエンターテインメントは、作り込まれたコンセプトやMV、ダンスパフォーマンスに比重を置いた耳だけではなく五感、特に視覚にインパクトを与えるK-POPというジャンルのイメージを作り上げてきた。そのように「アイドルを作り込むこと」に長けた環境の中で育ってきたテミンのパフォーマンスと、「映画」という時にノンフィクションでさえフィクショナルな物語として描くことができる手法の相性はよさそうだ。特に「Criminal」の歌詞は、フィクショナルな愛を描いているようでいてテミンのパフォーマンスを目にしたリスナー/ファンの抱く感情を描いているようでもあるという点で、フィクショナル/ノンフィクショナルな両面を持ったシネマティックな曲のように感じられる。

 以前から「もっと安全な道を選んでK-POPで流行ってる音楽をやってもよかったけど、K-POPの音楽的な幅を広げたかった」「K-POPの王道とは違った自分だけの音楽を作りたい」と語っているテミン。多大な影響を受けたと語るマイケル・ジャクソンのように自分だけの表現を追求するソロパフォーマーとしてだけではなく、「自分の家のよう」と語るメンバー達と共にするSHINeeでの活動や、同期や後輩達と挑むプロジェクトのようなSuperMでの活動など、今後も多彩な活躍を期待したい。

■DJ泡沫
ただの音楽好き。リアルDJではない。2014年から韓国の音楽やカルチャー関係の記事を紹介するブログを細々とやっています。
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