Perfume、テクノロジー演出の粋を集結させた『Reframe』を劇場で追体験 飽くなき挑戦と卓越した技術から生まれた映画に

 言うまでもなく、ライブと映画はまったく異質な、文字通り次元の異なる表現だ。ゆえに映画ではライブの魅力を決して伝えきれない……とは限らない。むしろ本作は、会場では到底体験できないものを突き詰めている。そのときステージで起きていることを、最適なサイズと画角と構図でフレームに収める。その画のどこにどういう工夫が宿っているか、何を伝えるべきかを判断し、計算し、流れを作って繋げていく。これもまた“再構築=Reframe”であり、映画にしかない醍醐味だ。

 Perfumeのパフォーマンスと、ライゾマティクスによるテクノロジー演出という超一流の素材を最高の腕で捌き、的確に見どころを押さえた編集は、過去に数々の秀逸なドキュメンタリー番組を通して、Perfumeの魅力を多面的に捉えてきた佐渡監督ならではだろう。

 本作では副音声付きの上映も特色だ。映画をはじめ、各種コンテンツの言語バリアフリー化を担うアプリ「UD-Cast」を用いた、Perfume3人による「おしゃべり副音声 with you」、そしてライゾマティクスの真鍋大度・石橋素による「技術解説副音声」の2種類が用意されている。後者の副音声では、技術や演出意図の解説だけでなく、『Reframe』初演の2018年からたった1年でいかに技術が進んだか、作り手としてどこに新しさやおもしろさを感じているか、などが平易な言葉で語られていて、テクノロジー演出において何が大切なのか、理解が深まること確実だ。

 ライブのテクノロジー演出はここ10年、飛躍的なスピードで進化してきた。Perfumeはその世界的な流れの先駆者であり、Perfumeとライゾマティクスがライブでいち早く採り入れたプロジェクションマッピングやドローン、トラッキング技術はすっかり一般化した。『Reframe』で挑んだテクノロジー演出の数々も、今後のライブ演出の在り方を変えていくことだろう。彼女たちの飽くなき挑戦と卓越した技術、膨大な試行錯誤と進取の気性から生まれたこの映画を、ぜひ劇場で体感してほしい。

■tk8
会社員/ライター。Perfumeに関するレポート『Kind of Perfume』を執筆中。

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