マカロニえんぴつ、豊洲PITから届けたオンラインライブ サウンドと言葉に込められた挑戦への“決意表明”

マカロニえんぴつ、豊洲PITオンラインライブレポ

はっとり【マカロニえんぴつ『マカロックONLINEワンマン〜豊洲から愛を込めて〜』(2020年9月3日豊洲PIT)】

 そんな怒涛のクライマックスを経て、彼らのライブでは恒例となっている、最後の曲の前のMCへ。はっとりは「いろいろな配信ライブの経験をさせてもらったのもこの日のためだったんじゃないかなと思ってます」と言いながらも「物足りない。やっぱりあなたの前で一緒に歌いたいなと、配信をやるたびに強く思います」と現状に対する悔しさを滲ませる。それでも「がんばってさ、こうやってまだ生きてるよっていうのを発信し続けるから。どうか頼ってください。バカにされても信じ続けろよ、好きなものだけは手放すな」という言葉には、音楽とバンドに対する強い信頼がにじんでいた。そして演奏された「ヤングアダルト」……もう何百回も聴いた曲だし、ライブでも何度も観た。でも、やっぱりこの日のこの曲は特別だった。いつの間にか春も夏もすっとばして秋になろうとしているこんな毎日のなかで、それでも音楽はちゃんとそこで鳴り響いて、生きていると叫んでいる。この曲が生まれたときには予想だにしなかったであろう状況が、この曲により強い意味を与えた。その運命的な響きが豊洲PITの広い空間を満たしていく光景は、ひたすら感動的だった。

マカロニえんぴつ『マカロックONLINEワンマン〜豊洲から愛を込めて〜』(2020年9月3日豊洲PIT)

 これで大団円……というわけではもちろんなく、ここで予告どおりの重大発表。画面に流れた映像で告知されたのは、11月4日にトイズファクトリーから1st EP『愛を知らずに魔法は使えない』をリリースするというニュース。そう、マカロニえんぴつ、メジャーリリース決定である。めでたい。「このタイミングでバンド名はかっこいいのに変えようと思っている」というジョークを挟みつつ、そして肝心なところで言葉をすっ飛ばしたり噛んだりしながらも、より大きなフィールドで活動していく思いを語るはっとり。「もっとおもしろいことに挑戦しようと思います。スピードアップで行きますんで、そこらへんは心配せず。あなたと一緒に二人三脚で精進していきます」という決意表明から鳴らされた最後の1曲は「OKKAKE」だった。ホーンの音色が華やかに弾けるサウンドが、まるで彼ら自身を祝福しているように鳴り響いた。

■小川智宏
元『ROCKIN’ON JAPAN』副編集長。現在はキュレーションアプリ「antenna*」編集長を務めるかたわら、音楽ライターとして雑誌・webメディアなどで幅広く執筆。

■セットリスト
『マカロックONLINEワンマン~豊洲から愛を込めて~』
9月3日(木)豊洲PIT

1.hope
2.遠心
3.トリコになれ
4.girl my friend
5.ワンルームデイト
6.溶けない
7.ブルーベリー・ナイツ
8.恋人ごっこ
9.春の嵐
10.ハートロッカー
11.愛のレンタル
12.洗濯機と君とラヂオ
13.ヤングアダルト

en1.OKKAKE

マカロニえんぴつ オフィシャルサイト

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