ネット・テレビ・ラジオ……変わるメディアのパワーバランス AWA上半期音楽チャートからヒットの最新潮流を探る
20年越しの再ブレイク「カブトムシ」
そんな中、特殊な事例と言えるのが12位に漕ぎ着けたaikoの「カブトムシ」だ。発売されたのは1999年だが、今年になって配信が開始されたため対象条件を満たしている。2月20日に放送されたラジオ番組『King Gnu井口理のオールナイトニッポン0(ZERO)』(ニッポン放送)で話題となったこの曲は、ほどなくしてaiko作品がストリーミングで解禁すると、瞬く間に各チャートを駆け上っていった。リリースから20年以上経っている曲が現れるのも、こうしたランキングの面白さである。
ネット/テレビ/ラジオ
こうして見ると、今回のランキングには3つの特徴的なヒットの形が混在している。
一つは、ネットサービス上のバズによるヒット。もう一つは、タイアップによるヒット。そして最後は、ラジオで起きたヒット。従来の大手メディア主導型の流行に対して、今年はネットの力がより一層強まり、そのバランスが大きく変化を見せている。
アーティストにとって今年は、今まで通り活動することが難しくなり厳しい状況に立たされた年だったかもしれない。しかし、昨今のメディアのパワーバランスの変化にチャンスを見出すことは可能だ。
”巣ごもり消費”が注目されるコロナ禍で、環境の変化に上手く適応できた者が今後も存在感を示すだろう。
■荻原 梓
J-POPメインの音楽系フリーライター。クイックジャパン・リアルサウンド・ライブドアニュース・オトトイ・ケティックなどで記事を執筆。
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