「僕らは強くなれる。」インタビュー

安斉かれんに聞く、ドラマ『M』主演以降に湧く音楽に対する情熱「チャンスをいただいたので今度は自分が頑張るしかない」

今できることを真剣にやっておけば何かにつながる

ーーずっと音楽を続けてますよね。離れたいと思ったことはないですか。

安斉:私、いつも「音楽を好きでいたい」って言ってて。それって、嫌いになりそうなことがあったからだと思うんですね。好きだったものが仕事になっちゃうと、好きの形が変わってきちゃったりする。それで悩むこともあったんですけど、今はなんでも楽しい! って思えます。

ーーどうしてそんなに吹っ切れました?

安斉:わかんないんですよね(笑)。

ーー自信がついたのかな。1年前とは全然違いますよ。すごく自然体だし、ありのままの自分でいれてるように見えます。

安斉:ほんとですか!? はずかしいっ(笑)。ただ、もともと、J-POPをやるなんて想像もしてなくて。でも、ちゃんと聴き始めてみたら、J-POPはJ-POPで楽しくて。これまで以上にいろんな曲を聴くようになって、それぞれの曲の楽しさを探るようになったというか。前までは、嫌いなものはすぐに閉ざしちゃってたんですけど、今は1回、自分の中に入れてみるっていうことを覚えました。人の意見もそうですね。だから、今はいろんなことに挑戦したいです。

ーーその楽しいっていうのはどんなとき?

安斉:瞬間じゃないんですよね。あとから、楽しかったなと思うことがたくさんあるから。ドラマも、最中は楽しいって感じるような余裕はなかったのですが、振り返ってみると、楽しかったなと思う。だから、今を一生懸命にやれば、あとから楽しかったなって思えるから。それがハッピーだなと思うし、そんな感じで頑張ってます。

ーーでは、新たな挑戦だったドラマのあとの新曲はどういうものをと考えてました?

安斉:どういうものがいいか迷ってたんです。もともと、この「僕らは強くなれる。」は高1か高2くらいからある曲で。リリースまでに4〜5回、レコーディングをし直してるんです。最初はもっとシンプルなバンドアレンジだったんですけど、3部作とは変えたかったし、いつか、自分ができる楽器を表に出せればいいねっていう話もずっとしてて。最終的に、ブラスのアレンジを加えてもらって、MVは京都橘高校の吹奏楽部の皆さんに協力してもらって、去年の夏休みに撮りました。

ーーそんな前に撮ってたんですね。

安斉:そうなんです。だから、その時の生徒さんからDMで「リリースはまだですか?」っていう連絡が来たりしてました(笑)。でも、このタイミングで出せて良かったです。もともとも素晴らしいアレンジだったんですけど、今だからこそ、このブラスバージョンにして良かったなと思います。ドラマの後だし、マーチングなので吹奏楽とは違うけど、中学の時にやっていたソプラノサックスも吹かせてもらって。こういう形で自分がやってきたものを残せるのはありがたいと思いますね。

ーー撮影について何か覚えてることはありますか。

安斉:ほんとに夏休みだったので、私がやってた頃の部活のことも思い出したりして。パートごとで、わちゃわちゃ喋ってたりしてるんですけど、パートごとで色が違うんですよね。サックスパートっぽいなとか、やっぱりトランペットの子がめっちゃ目立つな、とか。なんか懐かしいなって感じながら、めっちゃ観察しちゃいました。でも、何より、みんながコンクールの練習の合間を縫って、この曲を練習してくれてるんだと思うと、ほんとに感動したし。ありがたいなって感じて。あと、自分の部活のことを思い出して懐かしい反面、自分もまたそこにいるっていうのが不思議な間隔で、ずっとワクワクしてました。

ーーそのワクワクの源流はなんでしょう。

安斉:私がもともと好きな音楽が、やっぱり、みんなで作る吹奏楽なんです。今はソロになったけど、またこうしてみんなとできる機会をもらって。それが一番楽しかったです。今、バンド形式でやらせていただく機会も増えてるんですけど、それもすごく楽しくて。やっぱり、みんなで一緒に作る音楽はいいなと思いました。

ーー歌詞やタイトルもみんな=僕らになってますよね。

安斉:今までは自分のことを書いてきたんですけど、この〈破いたページの分だけ/僕らは強くなれる〉っていうフレーズは1年前に書き直してて。意識はしてないですけど、だんだん自分だけじゃなくなったのかな。めっちゃ見えてる! っていうわけじゃないですけど、ちょっと視野が広がったのかなとは思います。

ーー2ndシングル「誰かの来世の夢でもいい」では〈強くなれていない〉と歌ってて、3rdシングル「人生は戦場だ」でも〈本当は強くないよ〉とこぼしてます。

安斉:確かに。違いますね。強くなったのかな。悩むことはなくなりましたね。ほんとに悩まなくなっちゃって、逆に。だから、病んでる曲が書けないんですよ。

ーーデビューシングル「世界の全て敵に感じて孤独さえ愛していた」では劣等感や孤独感に苛まれていたのに。

安斉:そう! ほんとに書けなくなっちゃって(笑)。前は、全部が嫌になって投げ出しちゃいたくなる時もあったんですけど、それができなくなっちゃったんです。そこにいく前に自分をセーブすることができるようになっちゃって。バランスが取れてるんですよ、自分の中で。だから、病めないんですよ。

ーーいや、病まなくて良かったじゃないですか。

安斉:でも、病んでるほうが歌詞はめっちゃ出てくるんですけど。ま、そうは言っても、またきっと病むので、病めない時にしか書けない曲も今、書いておこうって思ってるんですけど。そういう意味では、いつでも等身大の歌詞を書いていければ、曲と一緒に自分も成長できるっていうか。成長がわかるようになっていければいいなって思ってますね。

ーーこの曲を書いた時はどんなことを考えてました?

安斉:歌詞を書き始めてまだ3曲目くらいだったんですけど、当時のことはあんまり覚えてないんです。ただ、吹奏楽をやってたこととか、高校生の時のことを描いていたら、勝手に応援ソングになったっていう感じ。でも、この曲は、あなたはこうしたほうがいいよ、こうすればうまくいくと思うよ、みたいな背中を押すような応援歌ではなくて。私も頑張るから、みんなも一緒に頑張ろう、みたいな。寄り添い系の応援歌なので、だから、“僕ら”は強くなれる、なんですね。頑張ってる人はもちろん、頑張ってる人を応援してる人も応援したい……例えば、部活のマネージャーさんとか、親御さんとかも応援できる曲になってて。誰かに向けてというよりは、みんなで強くなれるよっていう感じの曲になりました。

ーー歌入れは覚えてますか。

安斉:レコーディングは何回やるねん! って感じでした(笑)。でも、やっぱり、レコーディングが終わった後に聴くと、毎回、歌い方が変わってるんですよね。そういう部分でも、ちょっとずつでも成長できてるのかなって思える曲になってますね。

ーーここで歌ってる〈夢〉というのは?

安斉:この時は、高校生だったので。将来の夢ですね。私は周りに音楽をやりたいってことは言ってなくて。周りにはほとんど何も言わずに始めて、雑誌に出て、え? なんか載ってるじゃんって、バレるって感じだったんです。どこかで、バカにされるかもと思ってたんでしょうね(笑)。だから、こうやって書いてるんだと思います。楽しいことも悔しいこともあるし、失敗することもあれば成功することもある。なんでも挑戦してみないと始まらない。だから、私はなんでも挑戦していこうと思います。

ーー安斉さんにとっての今の夢は?

安斉:私は昔から、夢とか目標を作るのが苦手なんだなと思ってて。夢を作ると、その夢に向かうためにはどうすればいいのか? って、考えちゃうじゃないですか。そうなると、すごく硬くなっちゃうというか、好きなこと、やりたいことしかしなくなっちゃうんですよね。そうじゃなくて、今できることをめっちゃ真剣にやっておけば、何かにつながるなっていうスタンスの方が、自分の気持ち的に絶対に楽だなって思ってて。だから、今、与えてもらってることを頑張ろうって感じですね。音楽のジャンルは広げたいなって言う目標はあるけど、大きな夢は作らないようにしてます。

ーーデビューから1年経ったけど、未来も想像してなかった。

安斉:そうですね。いろいろさせていただきました。いきなり演技なんて、それもどうなるのかも未知だったけど、考えたことがなかったからこそ、すんなりできたのがよかったのかなって思ってて。そういう意味でも夢は作らない方がいいのかなって思います。

ーーじゃあ、今後の目標も特には作ってないですか。

安斉:ほんとに考えてないですね。でも、今、応援してくれてる方と会う機会が全くないのは残念だなって思ってて。私はずっとCGだとか言われたりしてたので(笑)、いつかはみんなの前に立って、歌いたいなって思ってます。それも積み重ねの先でこそ実現することだと思うので、目の前の今を頑張っていきます!

「僕らは強くなれる。」

■リリース情報
安斉かれん
NEW SINGLE
「僕らは強くなれる。」
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