LDH『LIVE×ONLINE』、配信だからこそ味わえたライブ感 “目撃”の総量が増える楽しみについて考える
『LIVE×ONLINE』では、ドローンの流れるようなカメラワークや画面分割を利用してメンバー全員の動きを捉えられる時間を多く作り、“目撃”の総量を積極的に増やしてくれた。それだけでなく、メンバー達がカメラに帯同しながらパフォーマンスしたり、複数のステージを交互に使用しテンポよく畳みかけるような展開を作ったりと、音楽番組で多用されるような演出も巧みに取り入れ、バリエーション豊富に楽しませてくれた。また配信ライブはその特性上、映像を組み込んだ演出に多大な効果と可能性を期待できる、という点も特筆しておきたい。『LIVE×ONLINE』でもそれは活かされており、これまでのライブでも醍醐味の一つであったパフォーマーのソロダンスや映像とのコラボレーションについては、これまで以上のドラマ性と臨場感が感じられた。
さらに、生のライブでは席の都合で観る方向を迷ったり、様々な影響によって集中が削がれたりすることも少なくないが、配信ライブにはそれがない。ただ画面を見つめ続ければ、そこが最上の特等席となる。無論、今後も「生で観たい」というファンの願いは変わらないだろう。しかし同時に「配信ライブでしか味わえないライブ感」というのもまた、存在するのではないだろうか。少なくとも『LIVE×ONLINE』には、それだけの可能性が大いに感じられた。
7日間のトリを飾ったTHE RAMPAGEのアンコールの際、ボーカル・吉野北人は涙で声を詰まらせてしまった。それを悟りながらパフォーマンスを続けるメンバー達の表情は、とても優しかった。『LIVE×ONLINE』がなければ有り得なかったあの尊い瞬間を、私達は確かに“目撃”することができた。
LDHと『LIVE×ONLINE』はこれから先もさらに進化したライブエンタテインメントを届けてくれるだろう。“ライブ”に熱狂できる日々は、まだまだ続くのだ。
■日高 愛
1989年生まれの会社員。『HIGH&LOW』をきっかけに大ファンとなったTHE RAMPAGEを中心に、LDH所属アーティストについて研究中。
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