小野賢章、長いキャリアで培った唯一無二の歌声 ロックナンバーからラップまで自在の表現スキルに注目
劇団の子役としてそのキャリアをスタートし、映画『ハリー・ポッター』シリーズのハリー役を射止めて、その名が広く認知された小野賢章。以降もアニメ『黒子のバスケ』など人気作の主演・主要キャラクターを数多く務め、今日まで第一線で活躍し続けている。役者、声優としての印象が強い小野だが、アルバムの発表やワンマンライブもこなすなど、アーティストとしての顔も持つ。
ここで改めて小野賢章の「音楽」を紐解いてみると、多くの看板を背負い、役者としてのキャリアを持つ彼ならではの魅力とテクニックが詰まっているのが見えてくる。
ハリー役と並ぶ小野の代表作と言えば、『黒子のバスケ』の主人公・黒子テツヤだろう。小野は作中で役を演じるだけでなく、タイアップでエンディング&オープニングを務めるなど、音楽面でも同作品に携わっている。
「黒子のバスケ」は、黒子テツヤと火神大我が光と影のコンビとなり、高校バスケの日本一を目指す物語で、小野は「FANTASTIC TUNE」など、オープニング&エンディング、さらに劇場版挿入歌を担当。どれも少年漫画の主題歌らしいアグレッシブかつ疾走感あるロックチューンで、力強くストレートな小野の歌唱が絶妙にマッチしている。
それが、キャラクターソングになるとまったく違う顔を見せる。小野演じる黒子テツヤは一見控えめでクールだが、芯の強さを持った人物。黒子テツヤのキャラソン「キミが光であるために」などでは、「FANTASTIC TUNE」のパワフルな歌声とはがらりと変わり、冷静で抑えた中にもアツい心を秘めた、「黒子テツヤの歌声」が披露されている。
また、アニメ『アイドリッシュセブン』ではさらに一転し、7人組アイドルグループ・IDOLiSH7の七瀬陸として多くのアイドルソングを歌唱する。作中には複数のアイドルグループが登場するが、その中でもポジティブでポップな、正統派のアイドルソングが多いIDOLiSH7。小野は抜群の歌唱力を持つセンター・七瀬陸として、明るい歌声で7人が歌う楽曲をまとめ上げる。また、グループ内ユニットとしてしっかり者の和泉一織(CV.増田俊樹)と2人で歌う楽曲もあり、「Fly away!」などでは、素直で弟気質な七瀬陸の魅力をより色濃く感じることができるだろう。