謎多き新世代ロックバンド WEAKEND WALKERとは? TAKU INOUEプロデュースの新作『黒点』をふくりゅうが全曲レビュー

 そんな3人の可能性をさらに拡張するチーム・クリエイターの存在にも注目したい。サウンドプロデューサーに、DAOKO、Eveなど人気アーティストや人気ゲーム『アイドルマスター』シリーズへの楽曲提供を手がけるコンポーザー/DJのTAKU INOUEが参加。リズムで音楽のジャンルが決まることが多いこの時代に、ジャンルの横断を可能とするためにもドラムレスとなっていることが、類稀なるビートセンスを持ったTAKU INOUEの参加からも伝わってくる。ビジュアル面では、アートワーク、MVなどを手がける人気イラストレーター焦茶を迎え、より立体化した座組みでクリエイティブ表現の強度を高めている。

Orange - WEAKEND WALKER MV

1st EP『黒点』全曲解説レビュー

1. 黒点(作詞・作曲:teppe)

たゆたうように儚さと切なさを歌い上げるナンバー。〈燃える体に誰も近づけない〉という焦燥感あるパワーフレーズが胸を打ち、ドラマティックな世界観を生み出す。緊張感ある静寂から入りながらも最高潮な沸点へとたどりつく本作EPの主役となる楽曲だ。

2. DREAM EATER(作詞・作曲:teppe)

インパクト強いイントロ〈あなたは私の夢を食べた〉からはじまる毒っ気ある歌詞は、追いかけられる夢のトラウマを曲に昇華したという。SiNによる没入感高い圧巻のストーリーテリングを魅せる歌声に注目したい。疾走感あるシューゲイザー的アレンジはTAKU INOUEのアイデアだ。

3. Polar Bear(作詞・作曲:SiN)

変拍子ビート、エレクトロなトラックがピュアなサウンド展開としてキラキラした高揚感を生み出すキラーチューン。叙情的な過去、白熊をタイトルにしつつも、“シロクマ実験”という心理学者による皮肉過程理論での人間の思考過程を、歌詞へとインスパイアしたというナンバー。

4. Orange(作詞・作曲:teppe)

最初期に生まれたオリジナル曲。ピアノによるイントロダクションが繊細なポップバラード。Mr.ChildrenやOasisなど、歌モノの曲が好きだというteppeのセンスが前面にあらわれたナンバー。どこかしら90年代センスを感じる人懐っこさが琴線を刺激する。

5. 盤上のカランコエ(作詞・作曲:teppe)

“正義とは何か?”をテーマにオセロになぞらえながら物語へと没入していくナンバー。正義とは人それぞれにあるものであり一つではない。そんな葛藤を、徐々に突き抜け広がっていく展開へと表現。問いかけながら解放へと向かっていくライブ感あるエモーショナルなナンバーだ。

 今もなお素顔はライブ以外では公開しておらず、謎の多いWEAKEND WALKER。1st EP『黒点』のリリースによって、ついにWW=ダブダブのヒストリーが本格的にスタートしようとしている。2020年は、個のコンテンツがパワーを持つ変化の時代。毒っ気を持ちながらも琴線を刺激する心を突き刺すキャッチーなポップセンス、確かなサウンド&ビジュアル構築力が成す、唯一無二のファンタスティックな世界観を体感してほしい。

■ふくりゅう(音楽コンシェルジュ) 
Yahoo!ニュース、J-WAVE、NHK、Spotify、LINE MUSIC、AWA、ミュージックマガジンなどで書いたり喋ったり選曲したり考えたり。Spotifyで公式プレイリスト『キラキラポップ:ジャパン』を毎週火曜日更新で選曲中。Twitter

WEAKEND WALKER『黒点』

■リリース情報
1st EP『黒点』
2020年7月15日(水)
 ¥1,500 (+税)
<収録曲>
1. 黒点
2. DREAM EATER
3. Polar Bear
4. Orange
5. 盤上のカランコエ
インスト曲含む全10曲

<封入特典>
WEAKEND WALKER 結成1周年記念ライブ先行抽選応募券

各種配信リンク
タワレコオンラインEP予約ページ

■ライブ情報
WEAKEND WALKER 結成1周年記念ライブ(予定)
2020年9月19日(土)Veats Shibuya

■関連リンク
WEAKEND WALKER 公式HP
WEAKEND WALKER Twitter

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