星野源、人との出会い・感謝・音楽を鳴らす喜び 10年を振り返った渋谷クアトロ配信ライブレポート

星野源、渋谷クアトロ配信ライブレポート

 曲中に中断して会話するのが定番の「プリン」、そして人気ナンバーの「Crazy Crazy」の演奏で会場の空気は一段階ヒートアップ。ラストスパートへ怒涛の展開を見せていく。そして自身の音楽活動において“ターニングポイント”、“ギアが変わった瞬間”だったと明かす「SUN」、それから「恋」「Same Thing」と畳み掛けるように披露。

 演奏後、次のようなことをカメラに向かって話した。

「自分の音楽は一番最初、中学生のときに人間関係がうまくいかなくて、それを吐き出すような歌ばかりだったけれど、いろんな音楽を聴くのが大好きで、楽しい音楽も、切ない音楽も日々エネルギーのように摂取していた。(そうしてできた曲を)人に聞かせたら、喜んでくれたのがきっかけで、いつの間にかこの仕事に就いていた」

「この10年間いろんなことがあったけど、その中で人との出会いがすごく大事だなと思う。みなさんが聞いてくれるおかげで、こういう生活ができてるので、こういう場ですが、本当にいつもありがとうございます」

 画面越しながらもストレートに伝わる10年間の感謝の気持ち。そしてバンド編成では最後の曲となる「Hello Song」へ。この曲におけるバンドメンバー全員の真剣な眼差し、そして音楽を鳴らすことを心から楽しんでいる様子が、この日に開催されたライブの意義を象徴していたように思う。

 ラストにひとりで歌ったのは「私」。曲中の〈死ぬのだけじゃ あんまりじゃないか〉というフレーズが妙に刺さる。この日一番の強さで声を荒げていたように見えた。

 九州では豪雨で水害が起き、関東ではコロナウイルスの感染拡大の第2波の懸念が強まった週末。人びとの不安に寄り添うようなライブ配信に、なんとなく生きる力をもらえたような気がした。

 最後に筆者からも、この10年間きわめて音楽的な意匠、そして音楽への探究心を保ちながら、芸能の世界でも活躍してくれている彼の活動姿勢に、感謝の意を表したい。

■荻原梓
J-POPメインの音楽系フリーライター。クイックジャパン・リアルサウンド・ライブドアニュース・オトトイ・ケティックなどで記事を執筆。
Twitter(@az_ogi)

■配信情報
視聴パス:¥3,500(税込) ※7月19日(日)19:30まで購入可
視聴パスをお持ちの方は、7月19日(日)23:59までアーカイブ視聴可能。
視聴はこちら

■リリース情報
星野源『Gen Hoshino Singles Box "GRATITUDE"』
2020年10月21日(水)発売
23,000円(税別)
予約はこちら

オフィシャルサイト

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