FAKY&Novel Coreに聞く、アーティストとして掲げるそれぞれの信念 「half-moon」コラボ曲に表れた“多様な視点”

FAKY&Novel Coreインタビュー

FAKY&Novel Coreがコロナ自粛で感じたこと

Taki&MIKAKO

ーーもちろん(笑)。ところで、今回の自粛期間はみなさん、どんなふうに過ごしていましたか?

Hina:私はこの冬が人生で最も忙しかったんですけど、『月とオオカミちゃん』が終わったのとほとんど同時くらいに自粛期間が始まって。ずっと走り続けていたのが、急にストップかけられたみたいになったので、最初のうちはどうやって時間を過ごせばいいのか分からなくなってしまいました。ここまでメンバーとも会えなくなったのは初めてだったし、ずっと「物足りなさ」を感じていたというか。「自分には何が残っているんだろう」「今、何ができるのかな」とずっと考えさせられた期間でしたね。今まで当たり前だと思っていたことが、実は全然当たり前じゃなかったんだなということにも改めて気づかされました。

Akina:ワンマンを含めた全てのライブがなくなってしまい、代わりに私たちは、さっきMikakoが話していた『FAKYWORLD』という配信番組を始めたんです。そうしたら、ファンの方たちと今まで以上にコミュニケーションができて、より近くなったような気持ちになれたんですよね。大切な人たちや、ファンの人たちと今まで以上に「繋がり」を強く感じられるようになれたのは、こういう状況下でのポジティブな側面の一つだったと思います。

Taki:確かに。ついネガティブな気持ちになってしまうけど、ポジティブな側面も見た方がいいなと私は思っていました。例えば、今までずっと忙しく仕事をしていた人も、自分と向き合う時間や家族と過ごす時間も増えただろうし。

MIKAKO:私自身は、良い意味であまり変わってなかったですね。これまでずっと自分と向き合ってきたし、それをこの期間はもっと突き詰めようと思ったので、お休み中も普段のお仕事のスケジュール通りに自分でマネジメントして動いていました。この先、いつまたライブが再開できるのか今はまだ分からないですけど、いざその時になって「あれ?なんか体型が変わった?」とか「パフォーマンス落ちてない?」「息切れしてるじゃん」と言われるのはすごくカッコ悪いし、よりパワーアップした姿を見せなきゃと思って日々過ごしていました。

ーーすごい。本当にストイックな方なのですね。

Lil' Fang:それがキャプテンなんです(笑)。みんなの言ってること、すごくよく分かるなあと思って聞いていたんですけど、私自身は「繋がり」についてよく考えていました。もともと友達も少なくない方だしフットワークも軽いから、いろんな人に会いに行くのが大好きなんですよね。それが一切全くできなくなって、今までずっと連絡を取り合ってた人とはあまり連絡を取らなくなったり、逆に全然連絡を取っていなかった人と、急につながりを感じるようになったりして。なんか、人との関係性って「頻度」じゃないんだなということを強く感じました。

ーーすごくよく分かります。自分にとって、本当に大切なものを見直す期間だったというか。

Lil' Fang:SNSに関しても、今まで私はずっと苦手意識があったんですけど、この期間は「SNSがあって本当に良かったな」と思うことが多かった。「あの人どうしてるだろう、心配だな」と思った時にすぐ連絡が取れたり、世界中どこにいても繋がることができたりするのは、本当にすごいことなんだなあって今更ながら強く思いました。そして、別に直接会わなくても「繋がる」ことはできるんだなということにも気づいたし、逆に直接会えることのありがたさも実感することができましたね。

ーーみんなが自宅から出られなくなったことで、隣に住んでいようが海の向こうに住んでいようが関係なくなったところはありますよね。

Lil' Fang:本当にそうなんですよ。世界がすごく近く感じたというか。こんなに世界中が同じ問題で悩んでいることなんて今までなかったし。今回、Black Lives Matterの運動が全米で起きた時も、きっと自粛期間じゃなかったら日本でこんなに早くリアクションが起きてはいなかったと思うし。コロナになって「世界中みんな、同じ時間を一緒に過ごしているんだ」という意識が強くなったからこそ、自分の問題として考えることができたのかもしれないですよね。

 もちろん、まだコロナもBLMも全然解決には至っていないし、苦しいこともたくさんある。亡くなった方もたくさんいるから、良い部分だけを手放しには言えないとは思うんですけど。ただ、出会わなければいけない「壁」だったのかなと思っています。

Core:僕は、Mikakoさんと考え方はすごく近くて。部屋でとにかく曲を作りまくったし、動画配信の見せ方も考えたし。1日中アイデアを頭の中でめぐらせるようになりました。前よりもクリエイティブになった気がしますね。

Hina:自粛期間に何曲作ったんだっけ?

Core:82曲です。

ーーええ!?

Lil' Fang:すごくないですか?(笑)CoreさんもMikakoと同じで、めちゃくちゃストイックな人なんです。

Lil' Fang「“自分らしさ”を曝け出して、それに対して誰も“ジャッジ”をしない」

ーー緊急事態宣言も解除されて、これから徐々に世の中も動いていくと思うのですが、そんな中でどんな活動をしていきたいか、最後に聞かせてもらえますか?

Lil' Fang:FAKYがずっと大事にしているのは「リアル」であることなんです。それは、グループとしての活動もそうですし、私たちの生き方もそう。もちろんファンの人たちを元気付けたいと思っているし、力になりたいとも思うんですけど、今回のことは私たちもショックだったし、辛かったし悔しかった。それを隠すつもりは全然なくて、「辛かったよね」って一緒に泣いたっていいんじゃないかと思っているんですよね。

ーー弱い部分も曝け出しているからこそ、ファンもみんなFAKYを信頼しているのかもしれないですね。

Lil' Fang:そう思います。メンバーそれぞれが「自分らしさ」を曝け出していて、それに対して誰も「ジャッジ」をしないようにしています。

ーーその人のありのままを、ジャッジせずそのまま受け入れるってとても大切なことだと僕も思います。

Lil' Fang:そうなんです。そのことをAkinaとTakiにいつも気付かせてもらっています。日本人ってついジャッジしてしまいがちなんですよね。

ーーCoreくんは以前、自分はケンドリック・ラマーのような先導者になりたいと言っていましたよね。

Core:そうですね。誰かにとっての「代弁者」でありたいという気持ちはずっとあります。それこそ肌の色や思想信条、年齢、職業、そういったものに左右されず、平等に世界を動かす力が音楽にはあるのだということを、今後も訴え続けていきたいと思っていますね。

 あと、これは先輩のアーティストの方たちともよく話すんですけど、アーティストのメンタルヘルスについて日本はまだまだオープンになっていないと思うんです。アーティストが抱える孤独感などを、もっと包み隠さず伝えていけるような状況を作っていきたい。そして、「自分の人生の舵を、他の誰かには絶対に取らせないで」というメッセージは、これからもずっと伝え続けていきたいと思っています。

FAKYデジタルシングル『half-moon feat. Novel Core』

■リリース情報
FAKYデジタルシングル『half-moon feat. Novel Core』
7月7日 リリース
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