TWICE、“原点回帰”の新曲「Fanfare」から伝わる勢いと存在感  今、王道ポップチューンをリリースする意味

TWICEは“アジア最強のチアガール”

 ここ数年、ガールズグループのトレンドは“ガールクラッシュ”だ。自分を肯定する姿や強さ、そして完成されたパフォーマンスを見せることで支持を集めている。そんな中でTWICEは少し異彩を放つ存在だ。クールなカッコ良さというよりは、健康的なキュートさ。そして彼女たちからのメッセージは「自分の内なる部分」ではなく、「聴いてくれるあなた」へ向いている。

 新曲「Fanfare」もタイトルと力強いイントロから、現状に対するエールソングなのだとすぐに理解できた。全てを“YES or YES!”に変えるポジティブな歌詞。彼女たちの原点となった「CHEER UP」や2018年の「Wake Me Up」をも彷彿とさせる。

 TWICEを一言で表すならば、プロフェッショナルなチアリーダーだ。高度なダンスパフォーマンスを最後まで曇りなき笑顔で魅せきる。ミナの〈夜明けを告げる太陽〉という歌い出しから始まることにグッときたファンも多いだろう。これまで体調不良で思うように活動できなかった彼女だからこそ生まれる説得力と希望。陰で数多くの困難を乗り越えてきたからこそ、心から誰かを応援できるし、相手の心に届くのだと気付かされる。

今だからこそTWICEは“ファンファーレ”で私たちを鼓舞し、前進させる

 シングルのカップリングには6月に韓国で発売した「MORE & MORE」Japanese Ver.が収録されている。トレンドを感じさせる挑戦的なハウス調、ダンスの難易度もグッと上がり“カッコいいTWICE”をアピールする一曲だ。こんな一面もある、という意外性にドキッとさせられたファンも多いだろう。

TWICE "MORE & MORE" M/V

 このまま成熟した路線で突き進むかと思わせておいて、「Fanfare」で原点回帰。韓国ではイメージ革新を図りつつある彼女たちが、日本で王道ポップチューンを出す意味、それはここ最近の暗いニュースに落ち込む日本のファンたちを元気づけるためなのではないだろうか。そしてまた、思うようにライブ活動ができない彼女たち自身を鼓舞する曲にも感じられた。

やり直せばいい 何回だって
繋いだ手 離さないから
約束しよう Always by your side
(「Fanfare」)

 アジア最高のチアガール、TWICEのエールが一人でも多くの人に届くことを願っている。

■K-POPゆりこ
エンタメ企業で働く会社員ライター。広告会社でメディア編集を経験した後、1年半のソウル生活。
学生時代に映画『猟奇的な彼女』とK-POPにハマって以降、韓国芸能ウォッチャー歴16年。
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