木村拓哉、変わることない姿勢で臨んだ“音楽プロジェクト”のステージ 初のワンマンライブ映像から感じた熱

 「この流れどうしましょうかね」などと言っている間に、キーボードで聞いたことのあるイントロが流れた。驚いた表情でバンドメンバーの方を振り返った木村。まるでイントロドン! 会場の歓声が一層高まる。「いく?」、「おかしいでしょ(笑)」木村とバンドメンバーがやりとりする間にバンドマスターがフライングスタート。「SHAKE」だ!

 ライブと言えばキャプテンの曲始まりの威勢のいい掛け声を聞かなければ帰れない。ファンも我らの出番、とばかりに歓声をあげ、脊髄反射で出てしまう曲間のレスポンスに、こなれたペンライトさばき。この安心感があるから、木村も全力でぶつかれたのではないか。

 今年2月。『SONGS 木村拓哉』(NHK総合)に出演した際に、ライブツアーでSMAPの曲を披露したことについて明かした。「みなさんの時間の中に、その曲がどこかにあったはずだから、それを共有するという意味では、僕はやらせて、ということを言わせてもらいました」。賛否両論が寄せられることは承知の上だろう。それでも歌うことを選んだ。

 長年に渡って交友のあるB'zの稲葉浩志が手掛けた「One and Only」、ザ・木村ワールドのUru作詞・作曲「サンセットベンチ」など、多くのアーティストが木村のために創作した楽曲が連なる、これぞ音楽プロジェクトなステージ。そして、スタッフを装ってA.B.C-Z 河合郁人が登場。トークタイムを盛り上げに来たはずが、木村からのサプライズを受けて感激していたのも微笑ましい。他にもファンから寄せられた質問に答えるなど、ファンとの距離が縮まるようなアットホームな時間が流れた。

 バンド演奏による重厚なサウンド、ストーリーを感じるステージ演出、全身で表現する木村のパフォーマンス、ファンを包み込むような歌声……本編、アンコール、最後にステージで放ったメッセージ、最後まで見ごたえのある139分だった。

 「どんなことに対しても全力じゃないといやだから」ーー前述の2008年ライブのリハーサル中、カメラを向けられるとさらっと語った。あれから12年。今もステージの上で汗をかく、その姿勢は変わらない。

■柚月裕実
Web編集者/ライター。企画、担当編集、取材・執筆してます。
日本の男性アイドルの頑張りを見ては涙する30代。
始まりはSMAP中居さん。 KAT-TUN、NEWS中心の事務所担。年中HDDの整理と原稿書きに追われています。

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