森朋之の「本日、フラゲ日!」vol.204
SEKAI NO OWARI、GReeeeN……独自のクリエイティブ追求したアーティスト 最新作からピックアップ
NHK連続テレビ小説『エール』主題歌として話題を集め、配信チャートを中心に大ヒットを記録しているGReeeeNの最新シングル表題曲「星影のエール」は、心地よいノスタルジーに溢れた旋律と、人と人の繋がりを、暗闇でこそ輝く星に重ねた温かい歌詞が共存する楽曲。昭和の大作曲家をモデルにしたドラマの世界に寄り添い、それを従来のスタイルに取り込むことでGReeeeNは、まさに老若男女が堪能できる2020年の大衆ソングを生み出してみせた。すでに多くの“歌ってみた”やカバー動画がアップされているが、今年の後半に向かって「星影のエール」は、さらに多くのリスナーを魅了し、勇気づけることになりそうだ。カップリングには、メンバーそれぞれが自宅レコーディングした新曲「ハローグッバイ by “STAY HOME”」を収録。
サクライケンタのプロデュースのもと、現代音楽、エレクトロニカなどの要素を織り交ぜた楽曲――変拍子やポリリズムを多用したリズム構成、高度な理論に裏打ちされた和声やハーモニーなどーーによってアイドルシーンで異彩を放ち、幅広い音楽ファンを惹きつけているMaison book girlが初のベストアルバム『Fiction』をリリース。「bath room」「cloudy irony」「言選り」「闇色の朝」「鯨工場」などの代表曲を網羅した本作を聴けば、アイドルというフォーマットを発展させ、(ファッションやパフォーマンスを含め)独自のアートフォームへとたどり着いたブクガの軌跡を追体験できるはず。切なすぎるアイロニーを静かに投影した「Fiction」、「karma」と「cloudy irony」をマッシュアップしたナンバー「river」、ポエトリーリーディング「non Fiction」など新録曲も魅力的。
■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。