「あくにゃんのヲタク保健室」第3回

「活動休止でグループに推しが不在」「昔の推しを思いだす」……気持ちをどう整理する? あくにゃんがヲタクのお悩みに回答!

 「推しが多すぎて毎日忙しい!」「どうしたら推しが喜んでくれるの?」など、ヲタクの悩みは尽きないもの。“ただのヲタク”あくにゃんが、そんなヲタクたちのお悩みに答える連載企画「あくにゃんのヲタク保健室」第3回は、活動休止で推しが不在になっていたり、昔の推しを思い出してしまう、という読者からのお悩みを取り上げる。(編集部)【記事最後にお悩み募集の詳細あり】

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今回のお悩み①

やっぱり自分の好きなメンバーが居ないとグループ自体への興味が薄れてしまいます。居れば熱量バンバンだと思うのですが、不在になって1年半……気持ちがもはやよく分かりません。

“箱”に対して愛着があるから、推しが居なくても応援できちゃう

あくにゃん:すごい、1年半?!  僕、最近推しが急にいなくなったんですけど、まだ3カ月くらいなんで推しがいない公演も1回くらいしか見たことなくて。1年半ってすごいですね。一部界隈では、居なくなった推しに想いを馳せている人を「亡霊」っていうんですけど(笑)。

 僕は推しがいなくなった瞬間に、もうそのグループに7割くらい興味なくなったかな。やっぱり一番好きな彼を観に行っているじゃないですか。悲しいなと思いながら、彼が不在の公演も観たんですよ。意外といなくても成り立ってることに傷ついたりとか、あと2推し(二番目に推している人)が構ってくれることもあったりとか。僕の推しがいないことを向こうも知ってくれてるから、すごいサポートしてくれる感じがあって、それはそれで良かったんですけど……。

 グループ自体に興味がなくなるっていうのは、僕は当たり前だと思うんです、推ししか見ていないから。ただ僕の個人的な感覚として、ここ2、3年くらいで、「箱推し」という言葉がかなり普及している気がしていて。“グループごと好きじゃないといけない”とか、“グループ全員を好きで当たり前”とか、“嫌いなメンバーがいるなんて許さない”という、全体主義みたいなのがすごい強くなっているんですよ。

ーージャンル問わず、たしかにその風潮は強くなっている気がします。

あくにゃん:僕はわりと各グループに推しがいるんですよ。その中でもなんで最終的に一個のグループに決められたかっていうと、箱推しに近い感覚で。最近は、グループの雰囲気が好きかどうかで、推しを決めている人も多いと思うんです。個人的に好きな子はそれぞれのグループにいるけど、なんとなくグループの感じが好きとか、事務所の規模感が好きとか、この事務所の先輩を推してたからとか、“箱”を見ている人がすごく多い。これって逆に言うと推しが居なくなっても、その“箱”に対しての愛着があるんですよ。だから、推しが居なくても、なんか応援できちゃう自分がいる。

 この方は、1年半くらいは何となく続けられてしまう魅力を“箱”自体に感じているんだろうな、と。もう推しがいないのに、そこに憑りつかれているというか、まさに“亡霊”状態なわけですよ。僕もこれはすごいわかるんです。推しはいないけど、グループ自体に愛はあるし、そのグループを観に来ているファンやスタッフ、よく使っている会場のスタッフとか、会場に行った帰りにいつも寄っているご飯屋さんとか、もうわけわかんないところまで広がっていくんですよ、ヲタ活って(笑)。“箱”がどんどん大きくなって、愛すべきものが増えていくからこそ、本来一番見たかった推しがいないのに、なぜかそこに居続けられる状態になる。

――このお悩みをくれた方の推しは活動休止中みたいで、「いつかは戻ってくるんじゃないか」と思っていて、余計にやめられないところもあるのかなと感じました。

あくにゃん:たしかに最近多いのは活動休止で、推しがいつ戻ってくるかわからないパターン。で、どのグループもそこに対してのケアが手厚いじゃないですか。たとえばその子がピンク色担当だとしたら、その子はいないけど全体のステージの照明をピンクにするとか、それぞれのメンバーの色の紙吹雪が出るとき、ピンク色の紙吹雪も出てくるとか。その場にいないからこそ、必要以上に「いるもの」として扱わなきゃいけないという雰囲気があって。僕もKing & Princeでいうと岩橋玄樹くん(※2018年11月から活動休止中)が好きで。岩橋くんがいないことを感じさせないようなコンサートの演出をしてるんですよ。そこに対して、やっぱり期待はするじゃないですか。でも、ジャニーズグループを横断したユニット・Twenty☆Twentyが発表されたときに「あれ? 活動休止中のメンバーの人数が含まれてない」ってSNSがざわついて、それで心が折れたっていう子もいたんですよね。今までグループの子たちが守ってきたものが、一気に崩壊したというか。

ーー活動休止って一番難しいかもしれませんね。

あくにゃん:どうしたらいいんですかね……待ち続けるしかできないし。でもここ最近ですよね、活動休止って。今までは辞めるか辞めないか、あと病気や怪我だったら治ったら戻ってくるという感じがあったのに、最近は目途がないというか、「いつ戻ってくるんだろう?」「本当に戻ってくるのかな?」と思ってしまいます。あと、本人が戻りたいと言っているのか、意思を聞けていないことも、不安の要因かもしれませんよね。

 ちょっとケースは変わりますけど、韓国の場合、兵役で2年間くらい推しがいなくなってしまいます。でも、実はいない間にも推しからの発信があって。たとえば兵役に行く前に、2年間分の曲を収録したり、兵役に行った直後に流すメッセージを、先に録っておくんですよ。そうすると、リアルタイムでの推しからの発信はないんだけど、元々録っていたものが流れるような仕組みになっている場合もあって、これは解決策として結構いいなって僕は思うんですよね。もちろんリアルタイムでその時思っていることじゃないかもしれないけど、推しからの発信が途切れない。「みんなに早く会いたい」「みんなのもとに元気な姿で戻れるように」「もっとたくましい姿になって戻ります」と、未来の約束事をしてくれる感じがすごくいいなと思っています。

――それはいいですね。ヲタク側は気持ちをどうしていけばいいと思いますか?

あくにゃん:兵役中や活動休止中、どうやったら気持ちを保てるのかというのは本当に難しくて。僕の尊敬する友達がいるんですけど、その人は兵役中の推しに強行突破して面会しに行こうとして止められていました(笑)。そうなると、「懐古」しかないんじゃないでしょうか。僕は他にも若いアイドルがいっぱいいるから、そういう子に目移りしそうになったときは、推しのすごい好きな写真とか、韓国界隈の場合は動画を撮れたりするので、自分にファンサしてくれてる映像とかを見返したりとかして、「こういうことしてもらったし」と思い返します(笑)。

 ヲタクがヲタクをやめない理由の大半が、使ってきた額と費やしてきた時間だと思うんですよ。推しへの愛以上にここが引っかかってくることもあって、推しへの愛が冷めていても、ヲタクとしてピラミッドの上位にいる人ってやっぱりやめにくい。良いか悪いかわからないですけど、使った額を計算したり、費やした時間を考えるのが「ヲタクをやめたくない」という目的に対してはベストなのかもしれません。僕の場合は、大学の卒業式を途中で抜けてヲタ活したこともあったんですけど(笑)。そういう、犠牲にしたものを考えるっていうのは一番いいかもしれないです。でも未だに後悔はしてないですけどね。

今回の結論①

今まで推しにかけてきた時間や、費やしてきたお金を、過去の栄光とするのではなくて、「財産」として認識して、改めて大切に保管するという考え方に変えるのもいいのかなと思います。昔の推しと新しい思い出を作りにくい状況で、たとえ新しい推しに切り替えたとしても、そこから思い出を作ったり、時間を費やしていくとかお金をかけていくのも、結構体力がいるので、こと今はオタ活ができない期間だからこそ、過去のことに思いを馳せるのもいいのかなと思います。

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