TWICE、ミナの休養に思う当たり前ではない存在 表現者としての責任感や努力で成立する“9人でいること”

 ドキュメンタリー内には「今回のコンサートは私たちにとって初めてのアメリカツアーでした。9人全員でステージに立ちたかったです」と声を詰まらせながら終演コメントを行うジョンヨン、ミナのメンバーカラーである緑色に光ったペンライトでいっぱいの会場、そしてシカゴの街並みを見ながら「ミナも気に入るはず。あの子がここにいたら」と言うジヒョが映し出される。

 そこにミナの姿はないのに、ミナの大きな存在を確かに感じるその光景には「(ツアー中)夜に何度も集まって何が最善か話し合い、ミナを待つことで一致しました。“どんなに(時間が)かかっても今のままで待っていよう”と。ミナの代わりはいませんから(チェヨン)」というメンバー全員の思いが表れているように感じた。

「私たちが病気になったり疲れた顔をしたら、ファンはすごく心配します。心配のあまり眠れなくなってしまう人もいる。だから健康には十分注意しますが、人間なので必ず弱ったり疲れたりします」「コンサートには大勢のファンが来てくれます。消極的な態度で臨むのは失礼だし、見せちゃいけないものです。他のメンバーも平気なフリをしていますが実はすごく大変なんですよ」

 ジヒョの言葉からは、たとえコンディションが悪い時であっても、沢山の視線と大きな期待ゆえにそれを表に出すことが出来ない状況の過酷さが伝わる。そしてそれは前回Ep 6.で、公演直前に体調を崩しながら本ドキュメンタリー用のカメラに笑顔でコメントを残し、ステージへ上がっていくダヒョンの姿からも垣間見られるものであり、また現在も多忙なスケジュールのなか、世界規模で活躍する彼女たちの環境に継続されているものである。

 TWICEが9人でいることの特別さは、見る者の心に楽しさや癒し、安定というポジティブな感情を与えてくれる。しかし、それは彼女たちによる表現者としての責任感と努力といった、当たり前ではない存在が背景にあるということを、私たちファンはいつでも忘れてはならないように思うのだ。

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■菅原 史稀
編集者、ライター。1990年生まれ。webメディア等で執筆。映画、ポップカルチャーを文化人類学的観点から考察する。Twitter

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