杏子、第一線を進み続けるシンガーとしての軌跡 味わい深い表現力で魅せる新曲「One Flame, Two Hearts」を聴いて

杏子、第一線を進み続ける軌跡

 とはいえ、やはり原点となるロックボーカリストとしての立ち位置が揺るぎないことは、BARBEE BOYSの活動再開によって証明されている。昨年29年ぶりに発表されたオリジナルアルバム『PlanBee』では変わらぬ妖しくセクシーな歌声を披露していたが、今年の1月に国立代々木競技場第一体育館で行われたBARBEE BOYSのワンマンライブは、復活後のピークと言ってもいいだろう。1万人以上のオーディエンスを前に、艶やかに名曲を歌う姿は、彼女が日本を代表するロックボーカリストであることを改めて認識させられた。

 その流れでいよいよ始動した杏子の新しいソロプロジェクトの第一弾シングル「One Flame, Two Hearts」は、先述の通り実に新鮮な一曲だ。タッグを組んだのは、ソングライターやアレンジャーとして売れっ子の多保孝一。Superflyのメンバーとしてデビューした後、現在はジャンル問わず様々なアーティストを支える、超売れっ子音楽プロデューサーとして活躍しているひとりだ。Superflyだけでなく木村拓哉のソロ曲、家入レオ「僕たちの未来」やchay「あなたに恋をしてみました」といったヒット曲を手掛けた彼の仕事ぶりを見れば、バラエティに富んだ杏子のソロ活動に対するスタンスに通じるものを感じさせる。とくに、Superflyをはじめとするロック系のアレンジやプロデュースを知っていれば、ああいった路線なのかと思うかもしれない。しかし、この新曲「One Flame, Two Hearts」は、いい意味で期待を裏切ってくれるだろう。エレクトロリックなシンセサイザーのサウンドとダンサブルなビートを核としたアレンジは、彼女の声とのマッチングもとにかく斬新だ。そして、深い愛を描いた歌詞の世界観も見事で、音楽シーンの一線でキャリアを重ねてきたからこその表現力でしっかりと歌い上げている。

杏子「One Flame, Two Hearts」

 杏子の2020年のプロジェクトはまだ始動したばかりで、今のところどのような展開があるのかは見えていない。おそらく今後アルバムも制作されるだろうし、コロナ禍の状況が許せばツアーも行われるだろうが、そこでどのような新しい世界を提示してくれるのかは未知数ではある。とはいえ、この第一弾シングル「One Flame, Two Hearts」を聴く限りでは、なかなか面白いことになるのではないかと期待できる。まずは「One Flame, Two Hearts」をじっくり聴きこんでから、次なる展開のニュースを心待ちにしたい。

杏子 / 配信限定シングル「One Flame, Two Hearts」リリックビデオティザー

■栗本 斉
旅&音楽ライターとして活躍するかたわら、選曲家やDJ、ビルボードライブのブッキング・プランナーとしても活躍。著書に『アルゼンチン音楽手帖』(DU BOOKS)、共著に『Light Mellow 和モノ Special -more 160 item-』(ラトルズ)がある。
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杏子「One Flame, Two Hearts」

■リリース情報
杏子 配信限定シングル
「One Flame, Two Hearts」
2020年6月17日(水)配信リリース
ダウンロードはこちら

BARBEE BOYS LIVE DVD&Blu-ray『PlainBee』
2020年6月10日(水)発売
<Blu-ray>
1Blu-ray:¥6,000(税別)
<DVD>
2DVD:¥5,000(税別)
予約はこちら

■出演情報
junkiesista×junkiebros. PRESENTS『GOHCAGO~御加護~』
<公演日>
東京公演:7月10日(金)~7月19日(日)@中目黒キンケロ・シアター
大阪公演:7月31日(金)~8月1日(土)@近鉄アート館
公式サイト

■関連リンク
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