東方神起はオンラインでも“パフォーマンスの皇帝”だった 『TVXQ! – Beyond the T』での挑戦を振り返る
MCに入ると、「本当に久しぶりですね」と韓国語で話す彼らの言葉が即時に選択した言語に翻訳されるサービスも。ユンホとチャンミンも世界中のファンに向けて、日本語、中国語、英語、タイ語……と様々な言語で挨拶をする姿が印象的だった。リアルタイムで流れるコメントの速さにも驚く2人。NCT 127のライブではユンホがライブチャットにゲスト参加するなど、他のグループのライブを見ていたが、実際にやるのは手探りな部分も多いようだ。
「パフォーマンスの皇帝」と称される彼らが、また「挑戦者」となる新たなフィールド。そんなシチュエーションに、こちらも胸が高鳴る。映像やスモークと連動して魅せていく「Before U Go」、MVの世界観を切り取ったような雨の街並みを映し出した「Truth」と、次々にオリジナリティ溢れる表現に挑戦。床面もビジョンになっており、真上からのアングルも、足もとに広がる雨の波紋を確認することができて面白い。
また赤×黒の衣装に着替え、日本語歌詞で披露された「ANDROID」「Trigger」は日本デビュー15周年イベントの見送りを受け、ファンへのサプライズプレゼントだ。ユンホの掛け声も「行くぜ」「みんな一緒に」と日本語で、より情熱的に響いた。直後のMCでは、そんなユンホの乱れた前髪をさり気なく直すチャンミンの姿も。
研ぎ澄まされたパフォーマンスと、こうしたほのぼのとする2人のやりとり。そのギャップに悶えたファンが続出。オンラインでつながっていると、東方神起に魅了される人が世界中にいるのだとより強く思える。遠く離れていても、同じものを愛でる人がこれだけいるというのは、間違いなく希望だ。
ビデオチャットでつなぐINTERACTIVE Q&Aでは、アメリカのファンから「東方神起といえばどういう風に思われたいか」という質問が飛び出したときも、「自分たちの価値観を共有できる人」と答えたユンホ。チャンミンも「ファンのみなさんに良い印象を与えられるようにユンホさんと常にベストを尽くすのみ」と加えた。より良いものを発信していこうと自己研鑽し続ける人、そんな価値観を共有する仲間、その心意気に共感したファンが集って、彼らの長い活躍が実現できているのだ。
後半は、さらに東方神起×最新技術で、ファンを魅了していく。巨大なクジラが空間を泳ぐ「明日は来るから」、マルチビュー機能で全身・アップ・全景・サイドを同時に映し出した、それぞれのソロ曲「FOLLOW」(U-Know=ユンホ)、「Chocolate」(MAX=チャンミン)。NCT DREAMのジェノ、ジェミン、チソンも参加したINTERACTIVE CHALLENGEでは、おなじみの「We are 」「T!」で心を1つに。そのまま「Always With You」をファンたちが微笑む映像を前に歌う。そして、「Dream」ではカメラと共にステージを降りて舞台裏も披露するなど、驚きの演出が続く。
そしてクライマックスの「MAXIMUM」「Why? (Keep Your Head Down)」「Rising Sun」は、オリエンタルな雰囲気を醸し出すモチーフが浮かんだり、リアルな炎やヘリコプターが飛び出したりと、彼らのダイナミックなダンスを引き立てる。非現実的で幻想的な風景に、彼らのパフォーマンスもより神がかっていく。
「短い時間でしたが、皆さんと楽しむことができてすごく嬉しかったです。会えない時間が長くならないようにお祈りしたいと思います」(ユンホ)
「大変な時期ですが、先ほど歌ったように必ず明日は来るから、健康に気を付けて、みんなで一緒に乗り切りましょうね。皆さんにまた会える日を心待ちにしています」(チャンミン)
そんな温かなコメントで締めくくられた初のオンラインコンサート。世界中のファンと共有する時間は、まさに新感覚だった。なかなか会場に足を運ぶことが難しい方や人気のチケットが手に入らない場合にも、こうして彼らのライブを楽しむことができるのは嬉しい限り。オンラインにはオンラインの、そしてオフラインにはオフラインにしかできないものがある。今後、東方神起のライブはオンラインとオフライン、どちらも“ならでは“の魅力に溢れるものに進化していくのではないかと期待してやまない。
■SET LIST
M1.呪文 -MIROTIC-
M2 .運命 (The Chance of Love)
M3.Before U Go
M4.Truth
M5.ANDROID
M6.Trigger
INTERACTIVE Q&A
M7.明日は来るから
M8.FOLLOW
M9.Chocolate
INTERACTIVE CHALLENGE
M10.Always With You
M11.Dream
M12.MAXIMUM
M13.Why? (Keep Your Head Down)
M14.Rising Sun