TOMORROW X TOGETHER、The Dream Chapterシリーズで描かれる壮大な世界観 最新作MVやティザーから読み解く
TOMORROW X TOGETHERのThe Dream Chapterシリーズ第3弾となる『The Dream Chapter:ETERNITY』が発売された。今回のミニアルバムは、The Dream Chapterシリーズの全貌や世界観を伺い知れる作品と言える。
まずトラックリストを見てみるとカバー曲の「Fairy of Shampoo(シャンプーの妖精)」を除き、「Drama」、「Can’t You See Me?(世界が燃えてしまった夜、僕たちは…)」、「Maze in the Mirror(鏡の中の迷路)」、「PUMA(動物園から抜け出したプーマ)」、「Eternally」とこれまでの2作でも提示されてきた“魔法的”なワードが目に止まる。世界の終わりや永遠、そして現実世界から隔離された空間や囚われのイメージとして「鏡」や「動物園」という言葉が使われているように見える。
活動曲(リード曲)でもある「Can’t You See Me?」のMVを見てみよう。終始家の中で完結するシンプルな場面設定だが、メンバーたちは徐々に分裂を起こし、半ば倫理観を失ったようなグロテスクな世界へと変貌を遂げていくなど、内容は複雑なものになっている。さらに歌詞に注目してみると“世界の秘密”“世界の果て”“永遠の約束”“崩れた砂の城”など、この世界を取り巻く状況設定が見えてくる。
つまり、これまでのMVを含めTOMORROW X TOGETHERが介在している世界は終わりを間近に控えた、もしくはすでに終わってしまった情景を描いていると仮定できる。明示的に世界の終わりが描かれている例としては、現実世界から燃え盛る魔法の世界へと飛ばされた「Magic Island」があげられる。この世界では自分たちにもともとあった役割や記憶を取り戻しつつある姿、そして世界の終わりにつながる“過ち”がMV中の文章などで示唆されていた。
The Dream Chapterシリーズの世界設定として基盤となるであろう「Nap of a star」では人と獣の特徴を併せ持つ5人の姿が描かれ、「CROWN」でも外界から隔離されたグリーンバックの世界で2Dアニメーションを使って5人に幻獣のような特徴がオーバーレイされる。この2つのMVからは、世界にとってTOMORROW X TOGETHERの5人が何か神性を持つキャラクターとして存在していると受け取れる。そして「Run Away」では、現実世界から魔法の世界へと飛ばされる様子や、世界の終わりを暗喩する燃える扉や絵本が描かれ、平行世界や時間軸の乱れとしてYEONJUNの指の怪我が治っている点が伏線的に描写されていた。