The Individualism of BEYOOOOONDS ~ビヨーンズの個性と発展~
BEYOOOOONDS 小林萌花、編曲もこなす豊富な音楽知識とおちゃめな一面 キャラクター性を徹底解説
BEYOOOOONDSのピアノマシーン
古くは真野恵里菜、近年ではモーニング娘。の佐藤優樹や野中美希、Juice=Juiceの段原瑠々などピアノを得意とするメンバーは数名いるが、小林はその個性をより前面に押し出している。
BEYOOOOONDS加入から3カ月後の2019年2月、小林による「シルバーの腕時計」ピアノ演奏動画がアップされた。モーニング娘。のアルバム曲を、自ら楽譜に起こしてピアノバージョンにアレンジ。演奏のみならず編曲まで手がけたことで、彼女のポテンシャルの高さをファンに広く知らしめた。
BEYOOOOONDSのライブでは、小林はピアノを実際にその場で弾いている。場合によっては「ニッポンノD・N・A!」のようにショルダーキーボードを使用してパフォーマンスすることも。レコーディングでも小林がピアノ演奏することが多く、これまで「Go Waist」「アツイ!」「We Need a Name!」「きのこたけのこ大戦記」「小夜曲“眼鏡の男の子”」の5曲でピアノプレイヤーとして彼女の名前がクレジットされている。特に「小夜曲“眼鏡の男の子”」は、シングル曲「眼鏡の男の子」をピアノアレンジしたインストチューンで、小林のピアノプレイをじっくり堪能できる楽曲だ。5曲中4曲はYouTubeにてレコーディング映像が公開されている。
コロナ禍の現状を反映して、自宅でも楽しめる動画が多数アップされている昨今。当連載の清野桃々姫の回でも紹介したが、BEYOOOOONDSは「眼鏡の男の子」「都営大江戸線の六本木駅で抱きしめて」のアカペラバージョン動画を公開しており、そこでは小林のピアノを伴奏としている。本稿執筆の数日前には「ニッポンノD・N・A!」のセルフカバーバージョンも新たにアップされた。
また、BEYOOOOONDS以外にもJuice=Juice「「ひとりで生きられそう」って それってねえ、褒めているの?」と、つばきファクトリー「ふわり、恋時計」のセルフカバー動画があり、そこでも小林はピアノ伴奏を担当。もともと、小林は他グループ曲のBEYOOOOONDSボーカルによるピアノ伴奏カバー動画の企画を考えていたそうだが、そこからグループ本体のボーカルによるセルフカバー企画に発展したそうだ(参照)。
小林のピアノ特技はハロプロの外へも評判が広がっている。2019年5月放送のラジオ番組『クラシック大好きアイドル全員集合!』(NHK-FM)は、STU48の瀧野由美子と兵頭葵、SUPER☆GiRLSの石丸千賀といったクラシックの素養があるアイドルをゲストに招いた特番だったが、小林もスタジオゲストの一人として出演。番組内ではショパンの「革命」を小林がピアノ演奏する一幕もあった。今後もこういった類の仕事が増えていくのかもしれない。
BEYOOOOONDSメンバーとしてアイドルの仕事をこなしつつ、音楽大学へも並行して通学するというのは並大抵のことではないと思うが、2019年1月更新の小林本人のブログ(参照)では、「特技のピアノは、数日間弾かないだけで技術が落ちていってしまうもの。それを武器として加入したからにはピアノを学び続けなくてはいけません。そのために、大学進学との両立を目指すことにしました」と大学進学の理由の述べたうえで、「私にとってハロー!プロジェクトへの加入は夢ではなくて、現実です。「二兎を追う者は一兎をも得ず」ということわざも世の中にはありますが、私は二兎を追って二兎以上を掴んでいきます」と熱い決意を語っている。