[Alexandros]、Suchmos、Mr.Children……熱狂を巻き起こしたスタジアムライブ カラー異なる各パフォーマンスの魅力
Mr.Childrenは、2017年9月に行われたデビュー25周年記念ツアー『Mr.Children DOME & STADIUM TOUR 2017 Thanksgiving 25』最終公演の映像を公開した。1曲目の「CENTER OF UNIVERSE」が、大会場でライブをする機会の多いこのバンドのライブ巧者ぶりを端的に証明している。“ドッドッダン”というシンプルなリズムを軸とした、どっしり構えるオープニング。サビから刻まれるようになる8ビート。テンポが2倍になる2番。「さあ、来い来い来い来い!」と叫びながら花道へダッシュする桜井和寿。徐々に音数の増えていくバンドサウンド……。このように段階的に疾走感が増していく構成になっているのだ。これは昂らずにいられない。
このツアーは7名のサポートミュージシャンを迎えた編成。桜井単独のアコギ弾き語りによる「Simple」から、計11名が全身全霊で鳴らす「ポケットカスタネット」まで、幅広いダイナミクスが実現できているのも特筆すべきポイントだろう。そしてアンコールのラスト、Mr.Childrenがロックバンドであることを改めて物語るような「終わりなき旅」の名演にも触れずにはいられない。翌年にリリースされた『重力と呼吸』がバンドの肉体性を打ち出すアルバムだったことを考えると、今思えばこの「終わりなき旅」は次への布石だったのかもしれない。
スタジアムのような大会場でのライブの場合、演者のしぐさや表情などを肉眼で確認することはまず不可能だが、映像の場合はそれができる。このように、(生には生の良さがあるのと同様に)映像で観るライブには映像で観るライブだからこその良さがあるはずだ。これを機にいろいろなバンドのライブ映像を観ることをおすすめしたい。今まで知らなかったバンドのライブ映像にも、これまでたくさん観てきたはずのバンドのライブ映像にも、きっと発見があるはずだ。
■蜂須賀ちなみ
1992年生まれ。横浜市出身。学生時代に「音楽と人」へ寄稿したことをきっかけに、フリーランスのライターとして活動を開始。「リアルサウンド」「ROCKIN’ON JAPAN」「Skream!」「SPICE」などで執筆中。