KOKIA、生配信ライブ『1 to 1 Live for you』で届けた音楽を通して人とつながるという温かい循環

 視聴者の反応が特に強かったのは、「安心の中」。〈全てが当たり前だった/一分一秒/大事に噛み締めて/生きてゆく事は/できないのでしょうか?〉というフレーズは、不安と怖さで覆われた現在を生きるリスナーの心に真っ直ぐに届いたはず。実際、コメント欄には、「いま聴きたい曲」「コロナでギスギスした気持ちが澄んだ」などの言葉が並んだ。「本当は今日、オペラシティで歌うんだったなと思い出しました。ないはずの客席が(目の前に)浮かんでくるというか……。それはしばらくお預け。こうやって違う形でみなさんとつながれることを発見したので」という言葉も印象的だった。

 この日は、3曲の新曲も披露された。「みなさんが自由に使えるように」という意図で制作された「I LOVE YOU」、“なかなかみんなに会えない、でも、つながっている”という思いを込めた「歌の向こうでつながってる」、そして、〈順番に休めばいい〉〈明日ここにいればいい〉というフレーズを持つ子守歌のような楽曲「かわりばんこ」。いずれもコロナ禍以降に書かれた曲だが、“音楽を通して人とつながる”“辛い状況にある人たちのことを忘れない”というスタンスは、以前から彼女の音楽の軸になっている。

 ライブ中のMCで「予定していた形とは違うけれど、たくさんのことを学んだし、新しい発見もありました。この状況のなかでも、いま出来ることを探して、美しく、清らかに進んでいきたい。がんばろう!」と語ったKOKIA。トレンドに流されない普遍性を感じさせる楽曲、祈り、癒し、強さを含んだボーカル、そして、聴く者の心を包み込むようなメッセージが共存する彼女の音楽は、この多難な時代において、多くのリスナーに浸透することになるだろう。

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KOKIA ディスコグラフィー
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