SuperM、『Beyond LIVE』から感じた世界中のファンとの“繋がり”とライブの新たな未来
ステージ上のスクリーンには、開演前から画面の向こうでライブを心待ちにする世界中のオーディエンスたちの姿が多分割で映されていたが、スクリーンを通して視聴者たちと直接リアルタイムで交流する時間があったのも、この『Beyond LIVE』の配信ならではの部分だったのではないだろうか。同じくSM ENTERTAINMENTに所属するガールズグループRed Velvetがスクリーン越しに登場したり、分割画面で他のSMアーティスト達が視聴している姿を発見できたりというのも、サプライズ的な楽しみを生んでくれた。また、世界中から視聴するファンを意識してか、リアルタイム翻訳による多言語字幕や、メンバーたち自身がそれぞれの母国語である韓国語・英語・タイ語だけではなく日本語や中国語、インドネシア語やベトナム語、スペイン語、フランス語などなるべく多くの言語でコミュニケーションをとろうとしていた姿も印象的だった。多国籍かつ、楽曲の歌詞自体も韓国語と英語が半々くらい(テンとルーカスのソロ曲は英語詞で、マークのソロ曲は英語と韓国語が8:2くらい)のSuperMならではの交流風景が見られた。
3方向のスクリーンを活用したAR(拡張現実)をふんだんに取り入れていた点も、『Beyond LIVE』ならではと言えるだろう。SM ENTERTAINMENTは、アーティストがその場にいるかのような3Dフィルムコンサートや、VRによるホログラムミュージカルやコンサートなど、アーティストが実際その場にいなくてもエンタメとして成り立つような、バーチャル的なライブ表現に携わってきた歴史が長い。VRライブではメンバーが自在に消えたり現れたりといった、現実のライブでは難しい非現実空間ならではのCGを生かした演出が特徴としてあったが、今回のライブでもその時の経験が生かされているのではないだろうか。特に新曲「Tiger Inside」では、CGの檻からメンバーが登場したり、虎があたかもそこにいるかのようにステージを走り回る映像と融合したARならではの演出が印象的だった。また、テヨンやマークのソロのようにリリックやパンチラインが肝の楽曲での、歌詞が視覚的に飛びこんでくるような演出も効果的だった。
今回のSuperMのライブでは、全世界109か国、7万5千人の有料視聴者がいたようだ。本公演は、ライブに足を運べない状況にも関わらず、世界中のオーディエンスにパフォーマンスを届けられるというオンライン配信の大きなメリットを打ち出したコンテンツであると感じた。オンライン配信には違法ストリーミングなど懸念すべき点はあるものの、同時に配信ならではの演出や、「繋がり」を感じさせるような双方向コミュニケーションの工夫なども、今後配信でのライブコンテンツでは特に力を入れるべきポイントと言えるだろう。
そういう部分も含めて、今後K-POPジャンル以外でも増えてくるであろう有料のライブ配信コンサートにおいて、まずは指針のひとつとなるライブになったと言えるのではないだろうか。
今後の『Beyond LIVE』では、日本ではまだライブパフォーマンスをしたことがないWayV(5月3日)や、カムバックを控えているNCT DREAM(5月10日)、日本でアリーナツアーまでも大成功をおさめたNCT 127(5月17日)といったラインナップが予定されている。今回の配信を皮切りに毎週日曜の午後3時に配信されるので、ぜひ体験してみてほしい。
■DJ泡沫
ただの音楽好き。リアルDJではない。2014年から韓国の音楽やカルチャー関係の記事を紹介するブログを細々とやっています。
ブログ:「サンダーエイジ」
Twitter:@djutakata
■ライブ概要
『Beyond LIVE』
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公演日時
WayV:5月3日(日)15:00~
NCT DREAM:5月10日(日)15:00~
NCT 127:5月17日(日)15:00~
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