THE BOYZとSuperM、注目のK-POPがチャートイン 両作に表れた対照的な“戦略”

参考:2019年11月18日付週間アルバムランキング(2019年11月4日~11月10日)

 2019年11月18日付のオリコン週間アルバムランキングチャートの1位は来栖翔(下野紘)『うたの☆プリンスさまっ♪ソロベストアルバム 来栖翔「Sweet Kiss」』で推定売上枚数30,499枚を売り上げた。同作は人気コンテンツのキャラクター毎ベスト。ちなみに初登場で8位にランクインした『「結城友奈は勇者である」ベストアルバム「勇気の歌」』もアニメやゲームなどに展開する人気コンテンツのキャラクターソングをあつめたベストアルバムだ。

THE BOYZ『TATTOO』(通常盤)

 ほか、トップ10に初登場したのは2位にTHE BOYZ『TATTOO』(推定16,773枚)、5位にKEYTALK『DON’T STOP THE MUSIC』(同10,220枚)、9位に浜崎あゆみ『LOVEppears/appears -20th Anniversary Edition-』(同5,535枚)。リリース自体は10月だが、11月5日に日本で輸入盤の流通が始まったSuperMのセルフタイトルのミニアルバムも7位にランクイン(同8,814枚)した。

 ここでピックアップしたいのは、THE BOYZだ。彼らは2017年に活動開始した若手ボーイズグループ。総勢12人のメンバーの多くはグループ結成前から韓国の芸能界で話題となっていた面々で、そんな高い期待に応える活動を展開。いまもっとも注目を集めるルーキーと言っていいだろう。

 本国ではすでに4枚のミニアルバムをリリースしているが、日本でのリリースは『TATTOO』が初めてだ。収録されている6曲は完全オリジナル。にも関わらず、収録曲のほとんどが韓国語で歌われている。日本語が登場するのはM4「Stupid Sorry」だけで、あとは韓国語に英語を交えたバイリンガルの詞だ。

[MV] THE BOYZ(더보이즈)_TATTOO(Performance ver.)

 K-POPアイドルなんだから韓国語で歌うのが当たり前なのではないか、と思う人もいるかもしれないが、ふつうK-POPアイドルが日本で活動する場合、日本語でオリジナルの楽曲を制作したり、既存の曲に日本語詞をのせるローカライズが施される。難しいのは、必ずしもこのローカライズを歓迎する人ばかりではない、ということだ。すっかりおなじみの慣習になってはいるものの、もともとは、外国語のポップミュージックを聴くのに抵抗のある層へリーチするための施策という側面も大きかったのではないかと思う。

 日本での活動だが韓国語で歌う。というのはK-POPアイドルの日本マーケット戦略の転換を感じさせるものだし、日本語一辺倒(ほんの一部英語もある)のチャート状況に変化を及ぼす可能性のある一手だ。

 とはいえ振り返ってみれば、K-POPのローカライゼーションによって、日本語の歌詞のかたちは徐々に変化してきたのではないかとも思う。拙著(『リズムから考えるJ-POP史』)でも少しだけ言及したことだが、もともとヒップホップが盛んでラップスキルの高いアイドルもたくさんいた韓国のポップスでは、ヒップホップのフローを歌メロに躊躇なく盛り込むことが多かった。それを日本語に翻案していく作業は、「トラップ以降」の複雑なリズム変化に日本語を順応させる可能性を開いたと言えるはずだ。

 そう考えると、仮にローカライゼーションの慣習が下火になったあと、どんな変化や揺り戻しがありうるかは興味深い。たとえば、多言語的な環境を当然のように受け入れることで、また新たな日本語の歌が生まれるかもしれない。

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