配信シングル「Swingin’」インタビュー
LOVE PSYCHEDELICOが語る、20年の歩みと求めるサウンド 「いいときも悪いときも、常に音楽と共にある」
「Swingin’」が出来たとき「まだまだいけるな」と思った(NAOKI)
ーー「Swingin’」は、ドラマ(テレビ東京系ドラマBiz『行列の女神〜らーめん才遊記〜』)のオープニングテーマですが、制作はいつ頃だったんですか?
KUMI:去年の春くらいから曲の構想があって、夏あたりから取り掛かり始めました。ツアー(『Premium Acoustic Live “TWO OF US” Tour 2019』)で一時中断したんですけど、今年に入ってからまた制作を再開した頃に、タイアップのお話をいただきました。
ーー曲を作り始めたときの“構想”は、どんなものだったんですか?
KUMI:ちょっと力が抜けているというか、リラックスしていて、軽やかで。
NAOKI:曲を聴いてもらえればわかると思うけど、めちゃくちゃキャッチーというわけではないんだよね。自然に身体が揺れる感じだったり、ちょっとしたユーモアだったり、いろんなアイデアが詰まっていて。すごく満足しているし、この曲が出来たときは、「まだまだいけるな」と思ったよ(笑)。
ーー確かにホッとするような気分になる曲ですよね。社会の緊張感が強いから、余計にそう感じるのかもしれないけど。
KUMI:ホッとする余裕を感じてもらえたら嬉しいですね。
ーー「Swingin’」のドラムは、OKAMOTO'Sのオカモトレイジさん。どういう経緯で彼が叩くことになったんですか?
NAOKI:何度かOKAMOTO'Sの曲をプロデュースさせてもらったことがあって。いちばん最近だと、「Dancing Boy」(アルバム『BOY』収録)という曲を一緒に制作したんだけど、そのときからKUMIに「レイジくんのドラム、いいんだよ」という話をしていて。じつは「Sally」でもスネアのロールドラムをエンディングで叩いてもらってるんだけど、1曲フルで参加してもらったのは今回が初めてで。「Swingin’」はビートが大事な曲だから、レイジくんに叩いてもらって良かったよ。
KUMI:うん、すごく良かったね。こちらから細かく「こうしてほしい」と依頼したわけではないんだけれど、「この曲はこういう雰囲気だろう」と彼なりに解釈してくれて。なんていうか、“日常感”が大事な曲なんですよね、この曲は。レイジ君の叩いてくれたドラムを聴いたときにも改めてそう感じたし、彼も「夕日が見えましたね」と言っていて。「やっぱりそういうことを意識して演奏してくれたんだな」と思いました。
ーー非日常を演出するのではなく、日常のなかに自然と存在している曲というか。
KUMI:はい。曲のテイスト的には、もっとムーディーな雰囲気の方向にももっていけると思うんですけど、そうはならなかったですね。
NAOKI:楽曲に向き合ってくれるところも良かったよね、レイジくんは。
KUMI:プレイヤーとして「俺はこうやる!」ということではなくて、この曲にとって、どういうドラムが必要かを考えてくれて。
NAOKI:そこは通じ合える部分だったね。
ーーミュージシャンのエゴを出すのではなく、楽曲にとって何が必要かが大事。お二人も一貫して、そういうスタンスですよね。
NAOKI:完全にそう。
KUMI:そういうエゴはないね。
NAOKI:いいのか悪いのかわからないけど(笑)。
KUMI:それは私もわからないけど(笑)、それがないほうが好きだし、心地がいいなって思う。
ーー思い切り自我やエゴを押し出すタイプのシンガーもいますけどね。
KUMI:そういう魅力ももちろんあるけども、私は(ボーカルを)楽器の一部、サウンドの一部として捉えていて。どういう声色で、どれくらいのテンションで歌おうか、考えて歌いますね。
NAOKI:「Swingin’」のときは、1回レコーディングで歌って、その翌日にもう1回聴き直して、唄のテンションを確認したんだよね。結局その日、KUMIは一部分だけ歌い直したんだけど、そうやって曲に合わせて歌のテンションを正確にチューニングできるのはすごいなって、改めて思った。ホントにちょっとしたニュアンスなんだけど、歌い直したものを聴いてみると「なるほど」って。それを生身の身体でやってるんだから、やっぱりすごいよ。
ーーギターに関してはどうですか?
NAOKI:さっきも言ったように、もともと「Swingin’」は、ギターがメインの曲じゃないからね。この曲に限らずなんだけど、自分はギターソロもぜんぜんカッコいいと思わなくて。聴く分には好きだし、VAN HALENやランディ・ローズも大好きなんだけど、自分は90年代の音楽の影響が強いからか、「2番が終わったらギターソロ」みたいなお約束がどうもイヤで(笑)。間奏のパートが必要なときに、ギターソロではないアイデアでいかに聴かせるか? というのは、デビューの頃からずっと気を付けてますね。そんなこと言ってるわりに、ライブのギターソロはけっこう長いけど(笑)。
KUMI:ハハハ(笑)。
NAOKI:特に「Swingin’」はギターのサウンドとかではなくて、身体が揺れる感じが重要だから。ロックのマナーを持ち込んだダンスミュージックというか。スライドギターが入ってるけど、それもロックファンに「デュアン・オールマンみたいだね」と言われるようなものではなくて、ハワイの空が思い浮かぶような、ユーモアのある雰囲気にしたかったんだよね。
ーーライブ映像作品『Premium Acoustic Live “TWO OF US” Tour 2019 at EX THEATER ROPPONGI』についても聞かせてください。サウンドの質の高さに驚かされましたが、このツアーのためにオリジナルのスピーカーを制作したそうですね。
KUMI:はい、メインのスピーカーを設計してもらいました。
NAOKI:このスタジオでも使ってる“ムジーク”(musikelectroic geithain)というドイツ製のスピーカーを日本に紹介した方なんですけど。メンテナンスに来てくれる度に仲良くなって、「こんな音でライブをやってみたいよね」って言ってたら……。
KUMI:「作れます」って。
ーーライブ会場での音響はどうだったんですか?
KUMI:自分たちはライブの音を客席で聴くことは出来ないんだけど(笑)、サウンドチェックの音も素晴らしかったし、レコードの音源を会場でかけても、とてもいい音でした。どの場所にいても、自分の目の前で演奏しているように聴こえるんですよ。いままでのコンサートとは、まったく違う体験をしてもらえたんじゃないかな。
NAOKI:ハイレゾ対応のミキサーじゃないと、スピーカーのスペックを活かしきれないくらいのクオリティらしいよ。
KUMI:まだまだ可能性があるということだよね。演奏する側にとっては、緊張感があるけども。というのも、ちょっとした演奏ミス、声のかすれも赤裸々に伝わるので。でも、なるべくいい音で届けたいですね。
NAOKI:それはぜひ、ライブ映像作品でも感じてほしいです。
ーー普段のリスニングもそうですけど、ある程度いい音じゃないと、曲の良さが伝わらないこともありますからね。
KUMI:はい、そうだと思います。(リスニングの環境によって)楽しみが半減することもあるし、豊かな音で聴くという選択肢があるといいですよね。
NAOKI:"いい音"の捉え方も、以前とは変わってきてるかもね。このスタジオを作った頃は、「いい音にしなくちゃ」と思っていたし、細心の注意を払ってレコーディングしていて。いまはいい音を耳や肌で感じることができるようになって、気を付けなくても、“聴けばわかる”という感じになっていて。以前よりもリラックスして録音できるようになったのも、いいことだと思う。
KUMI:“TWO OF US”ツアーで制作したスピーカーは、今年のバンドツアーへも持って行こうと思っています。それもとても楽しみです。
ーー20周年ツアー『LOVE PSYCHEDELICO 20th Anniversary Tour 2020』ですね。
KUMI:はい、今後の状況を見つつ、ですね。
NAOKI:うん。今はライブが思うようになかなかできない状況だけど、またみんなが音楽を楽しめるようになったときには、すぐにでも音を鳴らせるように僕らはスタンバイしているので。それしかないからね、我々音楽家ができることは。
■リリース情報
「Swingin’」
4月15日(水)配信リリース
配信はこちら
テレビ東京系ドラマBiz「行列の女神〜らーめん才遊記〜」オープニングテーマ
『Complete Singles 2000~2019』
発売:3月25日(水)
CD(4CD)¥4,000(税抜)
配信中 ダウンロードはこちら
・Live Video(Blu-ray&DVD)
『Premium Acoustic Live “TWO OF US” Tour 2019 at EX THEATER ROPPONNGI』
Blu-ray 価格:¥6,000(税抜)
DVD 価格:¥5,000(税抜)
・Vinyl record
『TWO OF US” Acoustic Session Recording at VICTOR STUDIO 302』
価格:¥2,500(税抜)
・BOX SET:20th Anniversary Special Box
4CD+ Blu-ray&DVD+ Vinyl+ Complete Singles Music Score+20th Memorial BOX+Denim Special Tote Bag
Blu-ray 価格:¥15,000(税抜)
DVD 価格:¥14,000(税抜)
■ライブ情報
『LOVE PSYCHEDELICO 20th ANNIVERSARY TOUR 2020』
6月21日(日)東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)※公演見合わせ
開場/開演:17:00/18:00
お問い合わせ:SOGO TOKYO 03-3405-9999
6月26日(金)北海道・札幌市教育文化会館 ※公演見合わせ
開場/開演:18:00/19:00
お問い合わせ:WESS 011-614-9999
7月4日(土)愛知・名古屋市公会堂
開場/開演:17:00/18:00
お問い合わせ:ジェイルハウス 052-936-6041
7月10日(金)福岡・福岡市民会館
開場/開演:18:00/19:00
お問い合わせ:BEA 092-712-4221
7月14日(火)大阪・オリックス劇場
開場/開演:18:00/19:00
お問い合わせ:YUMEBANCHI(大阪)06-6341-3525
7月18日(土)高知・高知県県民文化ホール オレンジホール
開場/開演:17:00/18:00
お問い合わせ:DUKE高知 082-822-4488
8月26日(水)富山・富山県民会館
開場/開演:18:00/19:00
お問い合わせ:FOB 企画 076-232-2424
9月4日(金)静岡・静岡市清水文化会館マリナート 大ホール
開場/開演:18:00/19:00
お問い合わせ:ジェイルハウス 052-936-6041
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