THE SxPLAY(菅原紗由理)、自分らしい音楽追求したデビュー10周年の軌跡 これからの10年見据えたベスト盤を聴く

THE SxPLAY(菅原紗由理)、自分らしい音楽追求したデビュー10周年の軌跡 これからの10年見据えたベスト盤を聴く

 THE SxPLAY(菅原紗由理)が、デビュー10周年を記念した初のベストアルバム『BEST OF 3650 DAYS』をリリースした。

 2008年にレコード会社主催のオーディションに合格し、2009年4月にミニアルバム『キミに贈る歌』で“菅原紗由理”としてデビューした彼女は、約5年間の活動を経て、2013年11月にメジャーアーティストを辞すことを決意。2014年4月からは“THE SxPLAY(ザ・スプレイ)”と改名し、新たなスタートを切った。

 彼女が悩んでいたのは“菅原紗由理”のパブリックイメージの重さと本来の自分とのギャップだったのだろうか。デビュー曲「キミに贈る歌」は配信サイトで100万ダウンロードを記録し、彼女はいきなり“着うたの女王”と称されるようになった。さらに、ゲーム『FINAL FANTASY XIII』のテーマソング「君がいるから」と挿入歌「Eternal Love」もヒット。上野樹里と瑛太が主演したフジテレビ系ドラマ『素直になれなくて』の挿入歌「素直になれなくて」も人気となる、切なくて泣けるラブソングを歌う、女心の代弁者としてのポジションが築かれていった。

 ずっと夢見ていたはずのプロデビュー。しかし、その夢のような順調すぎる活動の中で、今度は別の苦しみが生まれた。「もっとわかりやすい歌詞を書かないといけないのかな?」「恋愛をテーマにしたR&B系バラードしか歌っちゃダメなのか?」。最初は好きで始めたことが、いつの間にか周りの視線に包囲され、「私らしい歌」が「みんなが求める菅原紗由理らしい歌」に変化してしまった。そこから抜け出すために、彼女は“ありのままの自分で音楽を自由に遊んでいく”という思いを込めた“THE SxPLAY”としての活動を開始したのかもしれない。スタジアムが似合う高揚感たっぷりのロックアンセム「Living Rock」や、ミュージカルのようなドラマチックな展開を見せる「未完成キャンバス」など、より多彩なジャンルに挑戦し、幅広い表現方法を獲得してきた。自分らしい音楽を追求し、奥の奥まで掘り進めて取り戻した自分の歌。しかし、それは案外、変わらない自分だったのではないかと思う。変わらないというと少し語弊があるかもしれない。THE SxPLAYとしての5年間でジャンルは多岐に渡り、ボーカルのスキルや歌心はアップしているし、深みや苦味も増している。それでも、素直になりたいのになれずに逡巡するという、彼女の歌の本質はそうそう変わっていない。そもそも、そんなにコロコロ変われるのであれば、最初から本質でもなんでもないのだ。

 本作には彼女のCREW(ファンの総称)の投票で選ばれた13曲に加え新曲2曲の全15曲が収録されている。菅原紗由理の5年間から8曲、THE SxPLAYの5年間から7曲。リリース順には並んでいないのだが、クレジットを見ずに、どっちの曲か当てられる人は(CREW以外では)そんなに多くないのではないかと思う。そのくらい、菅原紗由理とTHE SxPLAYは自然と融合している。もっともわかりやすいのは最初の2曲だろう。オープニングナンバーは、デジタルシングルとして先行配信された、THE SxPLAYの最新曲「君とこの空の下で」となっており、続く2曲目は菅原紗由理のデビュー曲「キミに贈る歌」であるが、10年間のタイムラグを全く感じない。もちろん、歌詞に違いは見て取れる。〈今すぐキミに逢いたい/素直になりたい〉と歌う「キミに贈る歌」は募る思いを綴った片思いソングで、〈今、君に会いたい〉と願う「君とこの空の下で」は大切な人と別れた喪失から緩やかな再生までが描かれた曲。そこには、過去の思い出をしっかりと受け入れつつ、今、ここにいる自分を見極めようとする主人公が見える。

THE SxPLAY(菅原紗由理) / 君とこの空の下で 【OFFICIAL MUSIC VIDEO】

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アーティスト分析」の最新記事

もっとみる