The Individualism of BEYOOOOONDS ~ビヨーンズの個性と発展~
BEYOOOOONDS 高瀬くるみ、グループの方向性を決定付ける鍵となる? キャラクター性を徹底解説
BEYOOOOONDSの母は野菜ソムリエ
同じグループメンバーから“BEYOOOOONDSの母”と呼ばれることが多い高瀬。今年3月16日で21歳になったばかりの彼女は、BEYOOOOONDSメンバー全12人の中で一岡伶奈と並んで最年長。一岡はCHICA#TETSUのリーダーだが、高瀬は雨ノ森 川海のリーダーだ。本連載の第1回の一岡回でも少し書いたが、一岡と高瀬は各ユニットでリーダーであると同時に、正式にリーダーが決まっていないBEYOOOOONDS全体のまとめ役的存在でもある。
喋り口調が落ち着いていて、話す内容もしっかりしているのが高瀬で、リーダー然としたリーダーといえるだろう。“一岡はおっとりしているリーダーだけど、高瀬はパキパキしたリーダー”とインタビューで話していたのは西田汐里だが、そんな対称的な二人が年長さんでみんなをまとめているのがBEYOOOOONDSの構造だ。
2019年の正月にはメンバーに似顔絵入りのみかんを配ったり(参照)、2020年の正月にはお年玉と称してメンバー全員にポケモンのドーナツを配ったりなど(参照)、差し入れすることが多いのもリーダーっぽい。また、彼女の趣味のひとつに料理がある。ブログを読んでいると、美味しそうな料理写真がアップされていることが多い。
そんな料理の腕にも関係してくるのだが、高瀬は“野菜ソムリエ”の資格を取得している。野菜ソムリエは、一般社団法人日本野菜ソムリエ協会が認定する民間資格。長谷川理恵や山口もえなど、芸能人でも取得している者が多い。ハロプロ内でもモーニング娘。OGの安倍なつみ、石黒彩が野菜ソムリエの資格を持っている。
元々は、幼少時に野菜嫌いだった高瀬が母親の作る料理のおかげで好き嫌いがなくなった体験がきっかけで、高校の時に母親と一緒に資格を取得したという。2019年10月にアップされた動画では、美味しい野菜の見分け方を語っており、ガチ度がうかがえる。
BEYOOOOONDSの方向性を決定づけた高瀬の演技力
2017年5月に高瀬と清野の昇格が決定した際、「演劇女子部とは違った、演技やパフォーマンスを中心とした活動でデビュー」という告知がなされた。いまから振り返ると、このコンセプトがBEYOOOOONDSの「眼鏡の男の子」をはじめとする、寸劇を取り入れた楽曲群へ引き継がれているのがわかる。この当初のコンセプトに適した人材として清野、そして高瀬が選ばれたのだろう。
「お芝居だけは誰にも負けたくない」と本人も語っているが、高瀬の個性としてまず挙げたいのはその演技力の高さだ。前述したとおり、学生時代のミュージカル経験で基礎は培われている。ハロプロ研修生の加入後、当時の研修生ファンの注目を浴びたのは、2016年11月上演の『演劇女子部「ネガポジポジ」』だろう。つばきファクトリーおよびハロプロ研修生が主演の舞台で、配役は3チームに分かれており、高瀬はチームBで「りさ」という主役級のキャラを存在感たっぷりに演じた。
その後も、BEYOOOOONDSデビュー前の時期である2017年6月には『空想ペルクライム / Les Nankayaru』というハロプロ外部の舞台に出演。また、2018年5月放送のテレビドラマ『世にも奇妙な物語'18春の特別編』(フジテレビ系)にも出演と、細かい演技仕事をこなしている。
BEYOOOOONDSデビュー後では、『演劇女子部「不思議の国のアリスたち」』『演劇女子部「リボーン ~13人の魂は神様の夢を見る~」』というグループ主演舞台に出演。演技にはそういった舞台劇のほかにも、楽曲パフォーマンス上で行う演技というものもある。「眼鏡の男の子」では“ダンス系専門学校の生徒”という、正直いってあまり台詞のない配役で目立っていなかったが(衣装は派手だったが)、「文化祭実行委員長の恋」では、曲冒頭での江口紗耶との掛け合い台詞はかなり美味しい見せ場だ。ヘヴィメタルサウンドの「アツイ!」では、KISSのジーン・シモンズばりに舌を出して威嚇する曲中の振り付けを高瀬は全力でやりきっており、筆者はライブでこの箇所に来るとどうしても彼女のほうに目が向いてしまう。
そして高瀬の本領が発揮されているのが、アルバム曲「恋愛奉行」。曲中盤の台詞掛け合いパートでは、恋愛相談を持ちかける庶民役の清瀬に向かって、奉行役の高瀬が解決法を伝授し、〈恋や愛やで迷った時は/恋愛奉行にお任せあれ!〉と見得を切る。曲全体での高瀬の歌割りも比較的多く、彼女のメイン曲と考えて差し支えないだろう。