1stミニアルバム『LOBSTER』インタビュー
ビートルズの遺伝子受け継ぐ新鋭バンド yonawo初インタビュー ネオソウルへ至る音楽遍歴からメンバーの素顔に迫る
「喪失感」みたいなものは自分の中の大きなテーマ
ーー先ほど話したライブでも、音響設備もままならないスペースでyonawoらしいサウンドをしっかり再現していたのには驚きました。皆さん、相当耳がいいんじゃないかなって。
荒谷:それはおそらく、いつもお世話になっているエンジニアさんにやってもらったのも大きいと思います。
野元:でも、確かにドラムにタオルを被せて音をミュートしたり、アンプの音量を下げたり、あまり爆音で出さないようには気をつけましたね。
ーー力任せに音を出すより、小さい音で鳴らす方がニュアンスやダイナミクスを出しやすいし、それだけ演奏力も問われるんじゃないかと。
斉藤:ああ、確かに。僕ら、演奏にものすごく自信があるわけではないんですけど(笑)、でもおっしゃるようにニュアンスやダイナミクスこそ演奏の醍醐味だとは思っているので、そこはこれからも向上させていきたいです。
ーーファンキーなカッティングから、サイケデリックな音響的アプローチまで、斉藤さんのギターサウンドの多彩さもyonawoの魅力のひとつです。
斉藤:ありがとうございます。音数が少ないので、空間を埋めていく時にギターの役割は大きいですね。ドラム、ベース、キーボードの音色がさほど変化しないぶん、ギターの音色は今後もっとバリエーションを増やしていったら面白くなるかなと思っていますね。
ーー歌詞はどんなところから着想を得ているのですか?
荒谷:書く時に特にテーマとかは決めていなくて。面白いワードとか、普段の会話の中で聞いた時に心に留めておいて、そこから連想する世界を広げていくことが多いです。広げるときは、なんていうか……「無」になるじゃないけど、かなり感覚的な作業なのでうまく言葉にしにくいんですよね。「無」になるといっても、何も考えないわけじゃなくて(笑)。どこか、子どもの頃の感覚に戻るじゃないけど、出来るだけ純粋な状態で言葉にしていく感じに近いのかもしれない。
ーー「こういうことが歌いたいから曲にしよう」みたいなことよりは、もっと心象風景や言葉の響きを大切にしているというか。本作『LOBSTER』に収録されている「矜羯羅がる」や「Mademoiselle」の言葉遊びにしても、語感の気持ち良さがありますよね。
荒谷:僕が日本語の歌詞を書くきっかけになったのは、はっぴいえんどの「風をあつめて」なんです。それまではずっと英語の歌詞を、文法が合っているのかも分からないまま書いていたんですけど(笑)、はっぴいえんどを聞いた時にめちゃくちゃカッコいいと思ったんです。バンドはもちろん、歌詞の世界観に感銘を受けて。ユーミン(松任谷由実)さんや竹内まりやさんも同じように好きですね。それと、語感の気持ち良さ、ボキャブラリーやリズムの自由さという意味ではラップミュージックにも影響を受けていると思います。
ーーただ、テーマという意味では「矜羯羅がる」は、やり場のない苛立ち、悲しみ。「ijo」には人生への諦観のようなものを感じるんですよね。
荒谷:聴いてくださった人がそれぞれ自由に受け止めてもらえるのは嬉しいです。でも、自分ではあまりそういうことを意識しているつもりはないんですよね。例えば、そこにある風景を描写するだけの歌詞を読んで、そこに「悲しみ」を感じとる人もいれば、「幸せ」を感じとる人もいる。そんな歌詞が書けたらいいなと思っています。
僕自身も、悲しい曲を聴いているのになぜかポジティブになる時とかもあって。ただ、あえて言えば「喪失感」みたいなものは、自分の中の大きなテーマとしてあるのかもしれないと、今こうしてインタビューを受けながら思いました(笑)。
ーーそういう「喪失感」はどこから来ていると思います?
荒谷:うーん……(しばらく考える)。今こうやって当たり前のように音楽をやっていて、めちゃくちゃ楽しい時間を共有しているけど、それってどこか白昼夢を見ているような感じが僕の中にあるんですよね。現実味がないというか、死んだら夢のように消えてしまうわけだし。そういうことを、心のどこかで感じながら曲を書いているのかもしれない。それを表立って言葉にしているわけじゃないけど、曲に落とし込むことで整理しているところはある気がしますね。で、それを聴いた人が、同じような思いを言葉じゃなく感覚で共有してくれたら「救われる」というか。「生きてるっていいな」と思える瞬間なのかなと思います。
ーー同郷のnape’sとは交流も深く、彼らの音源のミックスダウンを斉藤さんが手がけるなどしているそうですが、福岡でシーンを盛り上げたいという気持ちもありますか?
荒谷:nape’sも僕たちも、個々で頑張って大きくなって、自然とシーンが形成されていったらそれが一番理想的だなとは思っていますね。まあ、そんな話を彼らとしたこともないですけど(笑)。今のところは東京に拠点を移すとか考えていなくて。
斉藤:福岡の緩やかな空気感とかすごく気に入っていて。制作もリラックスして出来るし、地元なので遊ぶ場所もたくさんあるから、普段は音楽以外のことをしている方がアイデアも湧きやすいと思うんですよね。
荒谷:気分転換し放題だからね。それで制作進まなくなっちゃ本末転倒なので(笑)、ちゃんと自己コントロールしながら活動を続けていきたいです。
斉藤:あまり一つのジャンルに拘らず、自分たちが面白いと思ったことに素直に影響されながらどんどん変わっていけたらいいなと思っています。
荒谷:今回のアルバムも、自分たちが今までやったことのない音作りやレコーディングを試せたから、そこは満足していて。今度はまた違うアプローチで曲が作れたらいいなと。何かのスタイルに寄り添うのではなく、「yonawo」というブランドの中で自分たちのやりたいことを自由にやれば、それがスタイルになるというか。それを聴いていい気持ちになってくれたらめちゃくちゃ理想的です。
田中:これからもいろんな楽曲にチャレンジしていきたいけど、とにかく荒ちゃんの歌詞とメロディに惚れ込んで僕はこのバンドに入ったので、そこはずっと大切にしていきたいです。
■リリース情報
1stミニアルバム『LOBSTER』
発売日:2020年4月15日(水)リリース
価格:¥1,500(税抜)
<収録曲>
1.「矜羯羅がる」
2.「ijo」
3.「しあわせ」
4.「26時」
5.「Mademoiselle」
6.「ミルクチョコ」
<店舗特典>
★Amazon.co.jp特典
オリジナルメガジャケット
★TOWER RECORD特典(TOWER RECORDS 全国各店/タワーレコード オンライン)
yonawo眼鏡拭き【TOWER RECORD Ver】
★HMV特典 (HMV全国各店/HMV&BOOKS online)
yonawo眼鏡拭き【HMV Ver】
★WonderGOO/新星堂特典(一部店舗を除く)
yonawo眼鏡拭き【WonderGOO/新星堂Ver】
★budstore特典
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★その他応援店特典
yonawo眼鏡拭き【その他応援店Ver】
■配信情報
「矜羯羅がる」各サイトにてダウンロード&ストリーミング配信はこちら
「ijo」各サイトにてダウンロード&ストリーミング配信はこちら
■ライブ情報
『yonawo 1st Mini Album「LOBSTER」release live』
●大阪・梅田Shangri-La
日時:5月22日(金)
開場:18:30 開演:19:00
前売り:¥3,500
ゲスト : 君島大空
●東京・恵比寿LIQUIDROOM
日時:6月13日(土)
開場:17:00 開演:18:00
前売り:¥3,500
ゲスト : 韻シスト
■関連リンク
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