森朋之の「本日、フラゲ日!」vol.194
三代目JSB、スカパラ……エンタメ性とクールさ兼ね備えたアーティストたち 新譜5作をピックアップ
ズッシリとした重厚感と一瞬でトップスピードに達する疾走感を共存させたサウンドのなかで、“シャンプーのCMソング→泡→バブバブ赤ちゃん”という連想(妄想)ゲーム的なリリックが炸裂する「泡 Our Music」、おしゃれなギターポップ風のアレンジとラップ混じりのボーカル、“フォント”をテーマにした歌詞という組み合わせが斬新すぎる「創英角ポップ体」、シンプルなパワーコード、真っ直ぐな8ビートとともに“やりたいようにやりよしや”と思い切り前向きなメッセージを放つ「はたちのうた」などを収めた9thシングル『うなぎのぼり』。ネタものとしての面白さから逃げることなく、ロックバンドとしてのカッコ良さを追求し続けるヤバTはキャリアを重ねるごとに確実に充実度を増している。「うなぎのぼり」というタイトルに偽りなし! の素晴らしいシングルだと思う。
昨年6月にシングル『新世界』でメジャーデビュー、ヒプノシスマイクへの楽曲提供でも話題を集める4MCラップグループ・JABBA DA FOOTBALL CLUBの2ndシングル『国道9号線』。女性ボーカルにUCARY & THE VALENTINE、男性ボーカルに藤井レオ (Omoinotake)をフィーチャーした表題曲「国道9号線」は、ドラムベース系のトラック、エモーショナルな歌、“閉鎖感を打ち破り、ガムシャラに進め”というメッセージがぶつかり合うナンバー。さらに、 全国ツアー「君の街まで」で培ったファンや地元のオーガナイザー/ミュージシャン仲間との関係性 を描いた「めでたし めでたし」と、 ROVINとアバンティーズのそらちぃことBuddyとのユニット曲「Have a Good Time」のリミックス音源を収録。親しみやすさ、イナたさを残したまま、音楽的クオリティを上げていることが伝わる。
■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。