GLAY、ジェジュン……楽曲の軸にある表情豊かなボーカル表現 新譜5作をピップアップ

 『GLAY DEMOCRACY 25thを掲げた25周年イヤー真っ最中のGLAYによる4枚組ベストアルバム、J-POPシーンでの存在感を上げ続けるジェジュンのニューシングルなどを紹介。表情豊かなボーカリストたちの歌の表現をじっくりと味わってほしい。

GLAY『REVIEW Ⅱ 〜BEST OF GLAY〜』

 出荷枚数500万枚を突破した『REVIEW 〜BEST OF GLAY〜』(1997年)の続編となる『REVIEW Ⅱ 〜BEST OF GLAY〜』は、メンバー4人がそれぞれ選曲した4枚組。“函館を散歩しながら聴きたいGLAY”(DISC-1 -TERU SELECT-)、“ザ・ベスト・オブ・GLAY”(DISC-2 -TAKURO SELECT-)、”STUDIO LIVE inspired by HOTEL GLAY ギター爆盛ミックス!”(DISC-3 -HISASHI SELECT-)、“この選曲でツアーを行いたい”(DISC-4 -JIRO SELECT-)と個性的なテーマで編纂され、GLAYの多面性が実感できるベストに仕上がっている。じつは驚くほどに幅広い音楽性を備えているバンドだが、それを一つに束ねているのがメンバー全員のプレイヤビリティ、そして、TERUの歌だ。技術に頼らず、強いエモーションを押し出す彼のボーカルこそがGLAYの軸であることをぜひ再認識してほしい。

GLAY『REVIEW Ⅱ 〜BEST OF GLAY〜』SPOT (HOWEVER ver.)
ジェジュン『Brava!! Brava!! Brava!!/Ray of Light』(通常盤)

 2018年から日本での活動を本格化させ、カバーアルバム『Love Covers』などを通して豊かなボーカリゼーションをアピールしているジェジュン。2020年最初のリリースとなる両A面シングルでも、その奥深い歌声を披露している。1曲目の「Brava!! Brava!! Brava!!」は、ファンキーなベースラインを軸にしたダンスチューン。濃密なグルーヴとセクシーな声質のバランスが気持ちいい。2曲目の「Ray of Light」はアニメ『ランウェイで笑って』(毎日放送)のEDテーマとしても話題のミディアムバラードで、叙情的な旋律とともに響く〈君だけが見つけだせる/明日があるから〉というラインに心を揺さぶられる。自らのボーカルスタイルを活かすプロダクションも高品質だ。

amazarashi『ボイコット』(通常盤)

 不穏な空気を醸し出すギター、咳払い、そして、“応答せよ”と呼びかける「拒否オロジー」から、美しいピアノとともに現代版・アメニモマケズと呼ぶべき歌詞が伝わってくる「そういう人になりたいぜ」まで、アルバム全編を通し、圧倒的な説得力に満ちている。目の前の状況と向き合いながら、あまりにも生々しく、鋭利な言葉を紡ぎ出し、音楽という表現に昇華するamazarashiのやり方は、本作によって一つの高みに達している。その背景にあるのは、希望が見つけづらいなんて甘いものではなく、ディストピアとしか言いようがない現在の社会。2020年の現実をもっともリアルに、そして、もっとも鋭敏に捉えた本作は、歌の力をまざまざと見せつけている。

amazarashi 『とどめを刺して』Music Video

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