あいみょん、GLAY、ミセス、シェフ、Saucy Dog……最新作から感じるソングライティングの妙

 映画『空の青さを知る人よ』の主題歌を収録したあいみょんのニューシングル、デビュー25周年のタイミングでリリースされるGLAYの15thアルバムなどを紹介。作品のコンセプトやメッセージに則した、アーティストの強い思いが込められた歌詞をじっくり味わいながら聴いてほしい。

あいみょん『空の青さを知る人よ』

 映画『空の青さを知る人よ』(監督・長井龍雪)の劇中主題歌「空の青さを知る人よ」(表題曲)、エンディング主題歌「葵」を収録した、あいみょんの9thシングル。いなくなってしまった“君”に対する切なくも温かい思いを綴った「空の〜」、そして、夢を抱えて未来に向かった季節と孤独や涙を抱えて生きる現状をリリカルに描いた「葵」。過去と未来をつなぐ“二度目の初恋”をテーマにした映画の物語に寄り添いながら、性別や年齢を超えて幅広いリスナーの記憶や思いを揺さぶるであろう、普遍的なポップソングに導いている。奇を衒ったところや難解な部分はどこにもなく、映画からインスパイアされた言葉を素直に紡ぎ、それを真っ直ぐに発するだけで、豊かな広がりを持った歌に結びつく。彼女のソングライティングは作品を重ねるたびに、確実に向上し続けている。

あいみょん – 空の青さを知る人よ【OFFICIAL MUSIC VIDEO】
GLAY『NO DEMOCRACY』(CD ONLY盤)

 “DEMOCRACY”を掲げたGLAYのデビュー25周年イヤーに発表される15thアルバムには、『NO DEMOCRACY』というタイトルが冠された。メンバー4人による“民主的”な活動を続けているGLAYだが、世界に目を向ければ、民主主義とはかけ離れた状況がまだ存在しているーーそれは社会の現状を反映していると同時に、ロックバンドが表現すべき普遍的なテーマなのだと思う。特に印象に残るのは、時代の節目をまるでドキュメンタリーのように捉えた「元号」、社会の底辺の情景を描いた「あゝ、無常」、時代の片隅に追いやられる子供たちに焦点を当てた「戦禍の子」など、言葉の力がまっすぐに伝わってくるTAKUROの楽曲。もちろんTERU、HISASHI、JIROの個性的を存分に活かした楽曲も収録され、アルバム全体を通し、GLAY一流のエンターテインメントとして成立していることも強調しておきたい。

「元号」ミュージックビデオ
Mrs.GREEN APPLE『Attitude』(通常盤)

 「青と夏」(映画『青夏 きみに恋した30日』主題歌)、「ロマンチシズム」(資生堂『SEA BREEZE』CMソング)など耳なじみのあるポップチューンが満載された4thアルバム。もっとも心に残ったのは、タイトル曲「Attitude」だ。バンドサウンドに加えられたハイブリッドなアレンジとともに綴られるのは、“なぜ僕は曲を作り、歌うのか?”という根本的なモチベーション。大切な誰かと思いを共有したい、愛し合いたい。やりたいことをやって、“世の中は腐ってなんかいない”ということを真っ直ぐに伝えたい。そんな“アティチュード(態度、心構え、姿勢)”こそがMrs. GREEN APPLEの核なのだと改めて実感できる名曲である。

Mrs. GREEN APPLE 4th Full Album「Attitude」2019.10.02(wed)Release決定!

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「音楽シーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる