鬼頭明里がソロ音楽活動で表現するものとは? デビューから最新シングルまでを考察

 昨年10月にシングル『Swinging Heart』でアーティストデビューを果たした声優・鬼頭明里が、2月26日に2ndシングル『Desire Again』をリリース。声優として社会現象になったアニメ『鬼滅の刃』の竈門禰豆子役をはじめ、放送中のアニメ『虚構推理』の岩永琴子や『地縛少年花子くん』の八尋寧々など人気アニメのヒロイン役を次々と演じて注目を集めている。その一方で、『Re:ステージ!』や『ブレンド・S』、『ウマ娘 プリティーダービー』などのゲームやアニメなど多くの作品でキャラクターソングを担当し、その歌声には定評があった。アニメ化も決定している『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』の近江彼方役として、1月に開催された『ラブライブ!フェス』でμ’sやAqoursとの共演も果たしている。そんな彼女が、ソロ音楽活動で表現するものとは。

期待と不安に揺れる心を歌ったソロデビュー曲

 2014年から声優としての活動をスタートさせた鬼頭明里。少女らしい可愛さがありながら、その真ん中にしっかりとした芯のある、凛とした声が魅力だ。これまでに数多くのアニメやゲームでキャラクターソングに携わったことが、音楽活動のベースになった。契機になったのはメディアミックス作品『Re:ステージ!プリズムステップ』で、劇中グループ・KiRaReのメンバー月坂紗由として2016年から活動。

 また、9周年を迎えて未だ人気の『ラブライブ!』シリーズのμ’s、Aqoursに続くグループ・虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の近江彼方としても2017年から活動し、どちらもすでに多くの楽曲をリリースしライブ活動も行っている。他にも『UQ HOLDER! 〜魔法先生ネギま!2〜』や『ブレンド・S』、『ウマ娘 プリティーダービー』など、約6年の間に彼女が携わったキャラクターソングは枚挙にいとまがない。この実績は、彼女がソロデビューする上での大きな根拠になったと言えるだろう。

鬼頭明里『Swinging Heart』(通常盤)

 そんな鬼頭明里は昨年10月、シングル『Swinging Heart』でのソロメジャーデビューを果たした。表題曲の「Swinging Heart」は、数多くのキャラクターソングや声優楽曲を手がけているTime Files ,incの3人が作詞・作編曲を手がけた、激しいバンドサウンドのロックチューン。クールさのあるAメロから徐々に熱を増し、サビで爆発するように展開するキャッチーなメロディが魅力だ。

 彼女の歌声も今までにない力強さがあり実に爽快。MVではバンドを従えて歌う姿やクールなブラックの衣装に身を包んだ姿などが映し出され、これまで彼女が歌ってきた、フワフワ&キラキラしたキャラクターソングとは一線を画したアプローチで、多くのファンを驚かせた。歌詞はソロメジャーデビューに際しての、期待と不安の間で揺れる動く心情が表現され、〈明日笑顔になれるパワー キミに届け〉〈行こう もっと先へ〉というフレーズからは、彼女の音楽活動におけるテーマが感じ取れた。

鬼頭明里 10月16日(水)発売デビューシングル「Swinging Heart」のMV short.ver

 同作のカップリングには、本人初アニメタイアップとなるTVアニメ『超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです!』EDテーマ「dear my distance」と、「Always Going My Way」を収録。「dear my distance」は、切なさ溢れるミディアムバラードで、歌詞は、アニメの登場人物の心情と重ねながら、未来への漠然とした不安が歌われた。自分に自信が持てない弱さを抱えながら、それでも前を向いて進み続ける健気さが胸を打つ楽曲だ。

鬼頭明里「dear my distance」

 また「Always Going My Way」は、ライブを意識したノリの良いロックナンバー。歌詞には聴く人の気持ちをアゲてくれるワードが盛り込まれ、〈Are you ready? Let’s go!〉などかけ声や〈Wow wow〉と一緒に歌えるパート、さらに曲の後半にはクラップで一体となるパートもある。可愛らしい声色やニュアンスで聴かせる部分もあって、声優・鬼頭明里とアーティスト・鬼頭明里が融合した曲だと言えるだろう。

鬼頭明里「Always Going My Way」

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