EP 『note-book –Me.-』『note-book –u.-』インタビュー

ちゃんみなが明かす、"病み期”を越えて知ったこと「音楽を通して自分自身を心から愛せるようになった」

私たちの世代は「現実的だけど奥底には熱いものを持っている」

ーーでは「ルーシー」についてはどうでしょうか? ここに登場する“ルーシー”もきっと大事なモチーフですよね。

ちゃんみな:これは私が昔から憧れていた人に向けて書いた曲なんです。最近、音楽で成功している人、かつて私が憧れていた人たちって、すごく不幸せそうだなって思うことがあって。当時は、好きな音楽ができて、キラキラしたステージで踊って、お金もいっぱいあって幸せなんだろうなって思っていたんです。だから私もそうなりたいと思って追いかけてきたけど、今同じようにアーティストになって改めて見たらみんな全然幸せそうじゃないじゃんって。そういうことに対して、「憧れの背中を見せてくれたのはあなたなのに。ちょっと、こんな場所だったなんて聞いてないよ」っていう気持ちをぶつけたような曲です。

ーーたしかにポップミュージックの歴史を振り返ると、優れたアーティストは不幸になったというエピソードは多いですよね。それは才能と引き換えに人生を明け渡すという面もあるのかなと思いますが、ちゃんみなさんはアーティストとしても、人生においても幸せになりたいという願望はありますか?

ちゃんみな:無謀だけど、両方を手に入れたいという気持ちはあります。音楽家としての成功と引き替えにっていう言い方は美しく聞こえますけど、当人からしたらすごく辛いことだと思うんです。だから、亡くなってしまう方もいるんでしょうし。「ルーシー」を書いていた時にちょうど、昔好きだったアーティストが亡くなったタイミングで。その時の「え?」っていう戸惑いも曲には出ているかもしれません。

ーー先ほど『u.』には絶望的な曲が収録されているとお話しされていました。1曲目の「In The Flames」から緊張感のある曲調とリリックです。

ちゃんみな:「In The Flames」は、『u.』全体に言えることが書かれていると思います。武器を置いて「どうにでもしろよ」みたいな状況、投げやりで自暴自棄というか、少しももがいていないんです。「In The Flames」の〈もうすでに受け入れて 笑っていた〉、〈火花の近くで はにかんだ私は世界一 綺麗だったでしょう…〉っていう歌詞は、「不幸な私が好きだったってことでしょ?」ていう皮肉なんですよ。きっともがいていたら「なんであの時、私のことをきれいだって言ったの?」みたいに言ってしまうと思うんですけど、この曲ではすべてを諦めて自己完結で終わってるんです。

ーー自暴自棄や投げやりというのは、その時のちゃんみなさんの心境を表している?

ちゃんみな:そうですね。感情がごちゃごちゃだったんだと思います。作品としては『Me.』と『u.』で4曲ずつに分かれていますけど、結局は全部同時に作ったものなので。

ーー「KING」には切なさが見え隠れすると同時に、これまで以上に強いちゃんみなの姿を感じました。

ちゃんみな:簡単に言えば感覚を麻痺させるというか。鈍感とは違うんですけど、自分を突き刺してくるものが何かあったとしても、それを無視して走っていくような。何があっても振り向かずに走り抜けていく気持ちも自分の中には確実にあると思っているので、そういう部分を前面に出した曲ですね。

ーー反発されても、それを押し返していく力のようなものですか?

ちゃんみな:そうですね。押し返す強さ、どんなことにでも「どうでもいい」って言える強さとか。そういう少し荒っぽいところも自分にはあるので。いいところなのか、悪いところなのかはわからないんですけど(笑)。

ーーリリックの中では〈Yo man 席替えは終わった〉という象徴的なフレーズがあります。世代が変わっていく中で、上の人たちに対するメッセージだと感じました。

ちゃんみな:デビュータイミングに「未成年」で〈そろそろ始まるからね席替え〉っていうフレーズを出していて。おそらく、世代交代そのものはもう終わったっていう実感があったんだと思います。そろそろ、私たちの世代が輝く時期が来たなっていう。

ーーちゃんみなさんを始めとする新世代にあって、前の世代にはない特徴はどんなものだと思いますか?

ちゃんみな:なんですかね……リアルっていうか、すごく現実的だと思います。私も含め、若い世代全体に言えることだと思いますけど、どこか冷めていて現実的だけど奥底には熱いものを持っている、みたいな。同世代の曲を聴いていてもそう思いますし、基本的に暗い雰囲気は持っていると感じますね。ビリー・アイリッシュとかを見ていても、彼女もどことなく鬱屈したものがあると感じますし。私の楽曲にも絶望があるように、そこは世代全体で共通している点じゃないかと思います。

「自分にかけてあげる言葉がガラッと変わった」

ーー『Me.』と『u.』、本当に対照的な作品ができましたね。先ほどご自身の中には別の人格が2人はいるとおっしゃっていましたが、10代の頃はどうでしたか? ご自身の中で変わった部分もあれば、変わっていないところもあると思いますが。

ちゃんみな:ちょうど今年のお正月に、お父さんとそんな話をしました(笑)。「昔、私って人格が3つくらいあったよね?」「3回くらい性格が変わったよね」っていう。今はもうそういう時期は終わったと思いますけど、15歳くらいの時が一番トゲトゲしかったと思います。自分の物差しに当てはまらないものは許せなかったし、何に対しても反発していたというか。自分を受け入れたという話をしましたけど、そのタイミングで他者のことも受け入れられるようになりましたね。私もこれだけ凸凹だったということは、この人が少し変わっていたとしても、それは個性だから美しいものなんだって。今は自分がマザーテレサ化しているような感覚があります(笑)。

ーーそのお父様と話した3つの人格は例えばどんなものでしたか?

ちゃんみな:ひとつは、すごく暗かった自分。恥ずかしがり屋で、基本的に親の後ろにずっと隠れているような。それ以外は、めっちゃ活発でみんなをまとめるリーダー的な人格もあったし、周りにも自分にも厳しい人格になったこともありました。でも、細かく振り返るともっとたくさんあるかもしれないです。

ーーその話をした時にお父さんは「苦労したよ」みたいな反応でした(笑)?

ちゃんみな:そう言ってました。結局のところ全部自分なんですけど、若かったが故に、小出しにしていたんだろうなって思います。すべての人格を中和させたものじゃなくて、ひとつ尖ってるものをその都度出していたんじゃないかなって。お父さんには、コロコロ変わりすぎて本当に心配した時期もあったって言われました(笑)。

ーー年齢を重ねることで、だんだん落ち着いてきたんですね。

ちゃんみな:やっぱり音楽を通して自分を知っていくことで、自分自身を心から愛せるようになったことが一番大きいと思います。

ーー自分を愛せるようになったのは、ここ最近の話ですか?

ちゃんみな:自分にかけてあげる言葉がガラッと変わったのは、今回の作品がきっかけです。それまでは「甘ったれてんじゃねーよ」みたいな言葉をかけていたんですけど、最近は「あなたは大丈夫だよ」「そのままでいいからね」みたいな肯定する言葉をかけられるようになりました。

ーー先日のライブを観て思ったのですが、そういうちゃんみなさんの生き方に憧れている女性や共感している方々も多いのかな、と。

ちゃんみな:みんな、ライブで発散してるように見えますよね。

ーーそうするとそれを引っ張っているちゃんみなさんとしては、そのファンの方々とも向き合うことにもなるのかなって。

ちゃんみな:そうかもしれないですね。でも、ファンのみんなと人生の一部を共有できるのはすごく嬉しいことで。私が発した言葉でも、受け取り手によってそれぞれ感じる情景は違うと思うんです。例えば、「Call」という曲に〈夏のせいだ 都会なのに 星が降る だんだんだんだんだん〉という歌詞があるんですけど、「だんだん」って方言で「ありがとう」っていう意味があるらしいんです。それを聴いて「星が降ってくれてありがとう」という意味で受け取りましたって言ってくれる子がいたんですけど、そういう人それぞれの思いや念みたいなものがライブ会場にはあると思うんです。みんなで一緒に歌って、いろんなことをみんなで思い浮かべているから、すごい空間になるのかなって。

ーー次のライブの構想はもうありますか?

ちゃんみな:もちろん、あります。たぶん、「ボイスメモ No. 5」と「Picky」のMVがヒントになるんじゃないかな。アイデアはすでにあるので、MVからどんどん演出を広げていって、尖ったすごいものになると思います。

ーーあと、男性ファンも以前と比べて増えていますよね?

ちゃんみな:それもびっくりしました。しかも、ちゃんと歌ってくれるんです。すごく可愛いですよね(笑)。

ーーちゃんみなさんの音楽が男性にも届くようになった理由は何でしょうね。

ちゃんみな:それが全然わからないんです。私から何かしたつもりはなかったんですけど、いつの間にか男の子が団体でいるな、みたいな。お兄さんも年配の方も、小さい男の子も増えてきてますし。ワンマンライブのMCで「メンズ、歌って」ってお願いしたら、予想以上に声が聞こえてきて。あれには感動しました。

ーー男女問わず、新しいタイプの強い女性アーティストの登場を待っていた面もあるんじゃないかと思います。

ちゃんみな:どうなんですかね……でも、素直に嬉しいです。男性の方にもたくさん聴いてもらえて。

ーー先ほど「言ってはいけないことを言っている」という話がありましたが、そういう際どいユーモアをみんな楽しんでいる部分はありそうです。

ちゃんみな:たしかに。「KING」のリリックにしても、〈尊敬の意をみせろ やいや〉って。遊び心で作っている曲ってヒップホップ系が多いかもしれないです。

ーー普段は言えないことを、歌うことで言ってしまう感覚をリスナーも楽しんでいるのかもしれませんね。

ちゃんみな:そうだと思います(笑)。

"note-book" (Teaser)

■リリース情報
EP 『note-book –Me.-』
¥1,300+税

M1. ボイスメモ No. 5
M2. ルーシー
M3. I cannot go back to you
M4. note-book

EP 『note-book –u.-』
¥1,300+税

M1. In The Flames
M2. KING
M3. Picky
M4. Baby

2020年2月19日(水) 2作同時発売

CD予約・配信はこちら

<特典>
『note-book -Me.-』『note-book -u.-』2タイトル同時購入特典:ちゃんみなオリジナルノート
※一部取扱いのない店舗もございます。
※特典はなくなり次第終了とさせていただきます。

1タイトル購入特典:
・Amazon.co.jp特典:デカジャケ
※特典ナシのカートもございますのでご注意ください
・楽天BOOKS特典:オリジナル・ミニクリアファイル
※特典の有無に関するお問い合わせは直接各店舗へご確認下さい。

■ライブ情報
ちゃんみな『Me』+『u』TOUR
東京公演
3月26日(木) Zepp Tokyo 
Guest:SKY-HI
info:CREATIVEMAN PRODUCTION

大阪公演
3月29日(日) Zepp Namba
Guest:ACE COLLECTION
info::キョードーインフォメーション

名古屋公演
4月2日(木) Zepp Nagoya
Guest:アバンティーズ
info:サンデーフォークプロモーション

ちゃんみな オフィシャルサイト
ワーナーミュージック・ジャパン HP

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