荻原梓のチャート一刀両断!
STU48、4thシングルが初登場1位 “らしさ”と“グループの成長”のバランスが鍵に
ところが、そうした楽曲で培われた“STU48らしさ”は本曲では感じられない。むしろ、乃木坂46「インフルエンサー」やラストアイドル「青春トレイン」を彷彿とさせる作風で、既存の楽曲の“型”を踏襲している印象だ。これまでの作品から想起されたのが“穏やかな海”だとしたら、この曲で思い起こされるのは“荒波”。4枚目にして早々に訪れたこの大胆な路線変更に面食らいそうになるが、カップリング曲に耳を傾けるとちゃんと安心させられた。
なかでも、Type-Cに収録されている「瀬戸内の妹」は彼女たちらしい。ゆったりとしたリズムで繰り広げられるピアノとギターの伴奏に、やわらかなボーカルが乗るやさしい楽曲だ。これぞSTUと言うべきフォーキーな音作りと、達観したような目線の歌詞。岬でひとりぽつぽつと歩く主人公の絵が浮かぶ。作曲は詳細不明の“未来”という名義。この意味深な名前でB面に収録させるのも面白い。
グループとしての知名度はまだまだだが、表題曲の力強さから今後の飛躍を大きく期待させられるリリースだ。そして、そんな中でも“らしさ”を忘れず保っているシングルだと言えるだろう。今後はその“らしさ”とグループの成長とのバランスをどのように取っていくのか、注目だ。
■荻原 梓
J-POPメインの音楽系フリーライター。クイックジャパン・リアルサウンド・ライブドアニュース・オトトイ・ケティックなどで記事を執筆。
Twitter(@az_ogi)